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1.6 自重の長期応力解析への接続(DL 荷重ケース)

部材自重・壁自重・ダンパー自重を、固定荷重(LoadCaseKind::Dead)の標準荷重ケース「DL」の内容として自動生成し(スラブ固定荷重の分配と合算)、長期応力解析・荷重組合せへ接続します。 床(スラブ)の自重はここには含まず、床の断面の板厚と材料から算定して床荷重の分配へ乗せます(1.8 床の断面と自重)。自重の算定対象を部材・壁・ダンパーに限ることで、床の重量が両方から二重に載るのを防いでいます。 梁は自重による等分布荷重(梁自重による CMQ に相当)、柱は軸力、壁・シェルは頂点への節点荷重となります(上下とも躯体と一体なら四隅へ等分、梁際にスリットがあれば切れていない側の 2 節点へ全量。1.9 壁の断面と自重)。壁の自重そのものの算定は1.9 壁の断面と自重を参照してください。壁・シェルは解析要素(4 節点の耐震壁等。4.5 壁エレメントモデル)を持つ壁版だけが対象です。取り付く壁版の自重は、取付き先が梁(線アンカー)なら床側と同じ幾何解決の経路で「DL」ケースへ合流し、取付き先が床領域(自立壁)ならスラブ固定荷重の分配へ等価な面荷重として上乗せされます(1.5 地震用重量・層データの生成)。

1.6.1 解析要素にならない壁版の自重

どの壁版が解析要素になるかは 4.5 壁エレメントモデル が定めます。解析要素にならない柱・梁に囲まれた壁版(間柱で分割された壁版、壁領域の一部を占める腰壁・垂れ壁など)の自重は、壁版の境界の辺へ配ります

壁版は一方向版として扱います。 床板の面荷重は版に直交して作用するため、版の曲げで支持辺へ流れ、三角形・台形の分配に力学的な根拠があります。壁版の自重は版の面内(真下向き)に作用するので版の曲げは関与せず、荷重は壁版が何に留め付けられているかで流れます。したがって床の分配則をそのまま鉛直面へ移すことはしません。規則は次の 2 つだけです。

  1. 支持部材のある鉛直な辺がちょうど 2 つあるとき、自重をその 2 辺へ半分ずつ配ります(ALC 横張りのように鉛直材が受ける形)。
  2. そうでないとき、支持部材のある水平な辺のうちもっとも低いものへ全量を配ります(縦張り・腰壁の形)。

支持部材とは、その辺を材軸上に覆う柱・大梁・間柱です。柱・大梁を優先し、辺が柱・大梁に覆われていればそこで終端します。10 mm 以内に並走する間柱が主架構の荷重を奪わないようにするためで、小梁で並走する大梁を優先するのと同じ考え方です。

辺が鉛直か水平かは、水平投影の長さが 10 mm 以下なら鉛直、両端の高さの差が 10 mm 以下なら水平と判定します。辺が支持部材の材軸上にあるかの許容差も 10 mm です(1.3 床荷重の分配と同じ値です)。斜めの辺は、鉛直にも水平にも数えません。

「この間柱がこの壁を受ける」ことは、壁版を間柱の位置で分割して表明します。 床側で「床板の境界辺が小梁の材軸に載っているなら、その小梁が受ける」としているのと同じ規約で、受け手を指す入力欄はありません。壁版を分割していない壁領域では、間柱は壁の自重を受けません。

この規則が誤りうる向きは次のとおりです。鉛直辺に支持部材があり、かつ実際は下の梁で受けている壁(ALC 縦張りで、間柱は面外拘束のためだけに入っている場合など)を鉛直材受けとみなすと、鉛直材の負担を過大に見ます。間柱・柱にとっては安全側です。

一方、下の梁はその重量を受けないため、梁の曲げを過小に見ます。 間柱が受け持ったぶんは反力が中間集中荷重として下の梁へ載りますが、柱が受け持ったぶんは梁を通りません。これは壁エレメントの自重を四隅へ配る扱いと同じ性質で(柱・梁が囲む壁の重量が梁のスパン内へ載ることはありません)、一方向版として配ることで新しく生じるものではありません。梁が全量を受ける形にしたい壁は、取り付く壁版としてその梁を取付き線に指定してください。

柱が受け持つぶんは、その柱の材軸方向の分布荷重として載せます。壁の重量が柱の高さに沿って伝わる形をそのまま表すためで、支点までの釣り合いは保たれます。ただし柱の断面力として表示・検定に用いる軸力は、部材荷重の両端反力を線形に内挿した値なので、材の中間で増えていく分は現れません。柱が負担する壁の重量のうち、軸力に現れるのは半分です。これは壁エレメントの自重を四隅へ 1/4 ずつ配る扱い(壁の重量を階高の中央で上下階へ分ける)と同じ大きさです。

間柱が受け持った荷重は解析要素を経由しないため、二次部材の反力の逐次伝達が単純梁の両端反力へ変えて主架構へ運びます(1.3 床荷重の分配)。鉛直な間柱の両端配分は、既定で上下端へ 1/2 ずつです。 壁は上から吊る・下で受ける・上下で分担のいずれもあり得ますが、現状これを選ぶ入力欄はありません。

境界のどの辺にも支持する柱・大梁・間柱がない壁版は、解析前チェックがエラーで止めます。 自重の行き先が決まらないためです。行き先のない荷重を節点荷重として残すと、要素が接続しない節点への節点荷重は解析の自由度から外れるので、荷重の一覧には見えるのに解析からは消えます。

算定式:総重量は §1.6 の自重算定規則(enumerate_self_weight)と同一とし、線材は次式の等分布荷重、その他は節点荷重に変換します(総量保存)。

\[ w = \text{総重量}/\text{節点間長} \]

実装squid_n_load::self_weight::self_weight_case_contentself_weight.rs)が生成し、アプリの解析実行系(sync_gravity_load_cases_action)がスラブ分配と合算して「DL」へ冪等に同期します。 地震用重量の集計では DL(自重を含む)を重力ケースとして算入し、階の生成では密度からの自重直接算入を無効にします(generate_stories_with_optsinclude_density_self_weight = false。両方行うと二重計上になります)。DL ケースがないモデルでは、階の生成で密度から自重を直接算入します。