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仕口パネル

準備計算が生成した**仕口パネル(柱梁接合部パネル)**を一覧します。

仕口パネルは柱梁接合部のせん断変形を評価するための要素で、既定で S 造(CFT を除く)の 柱梁接合部に設けられます。設けるかどうかは右パネル「① 準備計算」の「部材のモデル化」に あるチェックボックス 「仕口パネルをモデル化(柱梁接合部)」(既定 ON)で建物一律に 切り替えます。OFF にすると接合部を剛節点として扱うため、この一覧は空になります。

内容
節点接合部の節点 ID
dc [mm]柱せい方向のパネル寸法(柱断面から算定)
db [mm]梁フランジ板厚中心間距離(取り付く梁のうち最大)
tp [mm]パネル板厚
Ve [mm³]実効体積
Kxp=Kyp [kN·m/rad]パネルせん断剛性 \( G \cdot V_e \)

パネルが設けられる条件

次のすべてを満たす節点にパネルを設けます。

  • 柱が 1 本以上・梁(水平材)が 1 本以上取り付く
  • 取り付く柱・梁がすべて S 造である
  • モデル化対象の断面(H 形鋼・角形鋼管・円形鋼管)の柱があり、実効体積 \( V_e \) が正

構造種別は材料の区分で決まります(2.5 構造種別の判定)。 H 形の断面でも材料がコンクリートなら RC 造として扱われ、パネルは設けられません。

**RC・SRC の柱や梁が 1 本でも取り付く接合部は対象外です。**梁が RC であれば、柱が S でも 接合部はコンクリートが全体を拘束する RC の接合部になり、鋼部材だけの実効体積では挙動を 表せません。これらの接合部は剛域で有限寸法を評価し、検定は RC 柱梁接合部・SRC パネル ゾーンの断面算定が担います。S 造では接合部に接続する柱・梁がすべて S のとき剛域長が 0 になるので、パネルのせん断変形を明示的に評価しても二重にはなりません。

斜材(ブレース等)はパネルと連成しないため、この判定の対象外です。S 造の接合部に RC ブレースが取り付いてもパネルは設けられます。

CFT 柱の接合部もモデル化の対象外です。充填コンクリートと通しダイアフラムが接合部の せん断挙動に関与し、鋼管のみの実効体積では剛性を表せないためです。ただし断面算定は CFT も対象に含めるため、この一覧に出てこない接合部でも検定は行われます。

柱が複数取り付く節点では、実効体積 \( V_e \) が最小になる柱の諸元を採ります。剛性・ 耐力とも安全側になり、かつモデルの入力順に依らず一意に定まるためです。

一覧が空になる場合は、対象となる S 造の柱梁接合部がないか(RC/SRC の部材が混じる、 CFT 柱のみである場合を含む)、柱・梁の断面が未割当である可能性があります。 「断面性能」タブで断面の割り当てを確認してください。

モデル化の影響

パネルを設けると、接合部の節点はせん断変形角 \( \gamma_X \)・\( \gamma_Y \) の 2 自由度を追加で持ち、取り付く部材はパネル寸法分だけ離れた位置(柱フェース・梁フェース) で接合します。この 2 つは変位に逆向きに効きます。

  • 接合部がせん断変形する分だけ架構は柔らかくなる
  • パネル分のオフセットが剛域として働く分だけ架構は硬くなる

オフセットは梁が「取り付く柱せいの最大値 / 2」、柱が「取り付く梁せいの最大値 / 2」です。 剛体アーム長は剛域長とオフセットの大きい方になり、可撓長はその分だけ短くなります。 準備計算の「剛域」表では、剛域長・パネル分オフセット・フェース距離を別々の列で 確認できます。

可撓長が短くなるため、幾何剛性・せん断降伏の内法高さ・座屈長さ係数の剛度比も同じ 可撓長を用います。軸剛性・ねじり剛性は剛体アーム長に依らず節点間長で計算するため、 パネルを設けても変わりません。

増分解析・時刻歴応答解析では、パネルの降伏も考慮します。降伏耐力は柱の軸力比に応じて 各ステップで更新されるため、パネルの降伏が保有水平耐力や崩壊形に反映されます。

断面・材料の割当と表示上の扱い

仕口パネルは断面を割り当てない要素です。 せん断剛性は取り付く柱・梁の断面から求めた実効体積 \( V_e \) によるため、パネル自身が 断面を参照する必要がありません。材料は断面が持つため、断面を割り当てないパネルは材料も 持ちません。節点バネ・免震支承材・制振ダンパーも同じく、断面ではなく専用の特性値から 剛性を作るため、これらにも断面を割り当てません。

このため、断面・材料の割当を見る次の機能は、いずれもパネルを対象から除きます。

機能パネルの扱い
下ドック「診断」タブの断面未割当の警告対象外
解析前の入力チェック(断面・材料の未割当エラー)対象外
ナビゲータの部材グループ(鋼材部材 / RC部材)対象外(材種で分類しない)
3D ビューの選択ハイライト描かない

3D ビューでハイライトしないのは、パネルの節点列が「接合部の節点 + 取り付く部材の他端」 であり、材軸も輪郭も持たないためです。先頭 2 節点を結ぶ線は取り付く柱・梁そのものと同じ 線分になるので、そこへハイライトを描くと、選択していない柱・梁が選択されているように 見えてしまいます。同じ理由でクリックによる選択・ホバーの対象からも外れているため、 パネルの寸法とせん断剛性は、この準備計算「仕口パネル」タブの一覧で確認してください。

パネルは部材タブの部材一覧には種別 PanelZone の要素として並び、断面の欄と(断面から 引く)材料の欄はどちらも空欄()が正しい状態です。ナビゲータの部材グループはパネルを数えないため、鋼材部材と RC部材の合計は部材一覧の行数とは一致しません。

断面算定との関係

柱梁接合部の断面算定は、このモデル化の有無に依らず常に行います。検定する接合部の 判定はモデル化と同じで、柱・梁がすべて S 造の接合部だけが対象です。異なるのは CFT の 扱いだけで、CFT 柱の接合部はモデル化されなくても検定されます。

モデル化の有無で変わるのは設計用パネルモーメントの求め方だけです。パネルをモデル化した 節点では解析が出力するパネルせん断モーメントを、モデル化していない節点では梁端モーメント と柱せん断から組み立てた値を用います。

検定結果は結果タブ「設計」の「接合部・耐震壁の検定」表と、3D の検定比図(節点上の ひし形マーカー)で確認できます。

3D の位置はモデル化ビュー(結果タブ「モデル化」)でも確認できます (モデル化の表示)。

算定根拠は 4.6 仕口パネル(柱梁接合部パネル)を 参照してください。