10.1 数量積算の算定式
建物モデルの部材・スラブ・壁から、部位別にコンクリート体積 [m³]・型枠面積 [m²]・ 鉄筋重量 [t]・鉄骨重量 [t]・鉄筋継手個所数を、構造計算プログラムで慣用される 概算数量の拾い出し規則により集計します。
各部位共通事項
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鉄筋(RC 造): フック・余長・重ね継手長さ・溶接継手長さは考慮しない。
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鉄骨(S 造): 鉄骨重量は次式による。
\[ W = L \times A \times 7.85 \]
ここで \(W\): 鉄骨重量 [t]、\(L\): 鋼材長さ [m]、\(A\): 鋼材断面積 [m²]、 7.85 t/m³: 鉄骨単位重量(積算の慣用値・固定値)。
荷重計算(固定荷重・地震用重量)の鋼材単位体積重量 \( \gamma_s = 77\ \text{kN/m}^3 \) (質量換算 ≒7.8518 t/m³)とは分野別の慣用値として使い分けており、 両者には約 0.02% の系統差があります(仕様)。数量積算の重量はすべて 7.85 t/m³ によります。
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SRC 造: コンクリート体積は内蔵鉄骨の体積を差し引かずに計算する。
鉄筋の長さ → 重量の換算は JIS G 3112 の単位質量(D10=0.560、D13=0.995、 D16=1.56、D19=2.25、D22=3.04、D25=3.98 kg/m …)によります。
部材の分類
モデルは部材の用途区分(柱・大梁・小梁)を明示的に持たないため、幾何条件で分類します。
| 部位 | 判定 |
|---|---|
| 柱 | 両端節点の水平距離が 1 mm 未満の線材(鉛直材) |
| 基礎梁 | 最下層レベル(全線材節点の最小標高 ±10 mm)にある水平梁で柱に取り付くもの |
| 大梁 | 柱が取り付く節点を端部に持つ水平梁 |
| 小梁 | 柱に取り付かない水平梁、および二次部材の小梁(同じ両端を持つ実部材がある場合は線材側のみ) |
| 床・片持ち床 | 床領域の版(主架構が囲む領域は「床」、主架構に取り付く領域は「片持ち床」) |
| 壁 | 壁・シェル要素(3 節点以上) |
| ブレース | ElementKind::Brace |
構造種別(RC/S/SRC/CFT)は2.5 構造種別の判定によります。 複合断面(SRC・CFT)は断面形状で、それ以外は材料の区分で決まります (剛域・仕口パネル・一次設計の検定器選択と同じ規則)。
柱
柱長さ \(H\) は床上〜床上(=節点間距離。フェイス控除しません)とします。
- コンクリート体積: \( D_x \times D_y \times H \)
- 型枠面積: \( 2 \times (D_x + D_y) \times H \)(円形柱は \(\pi D H\))
- 主筋: すべての柱で長さ \(H\) として算定します。X・Y 方向で鉄筋径が異なる場合も 隅の重なり合う部分は差し引きません(\(n = n_x + n_y\) 本)。
- フープ: 一組の長さ \( n_x \times D_x + n_y \times D_y \)、
本数 \( H / \text{ピッチ} \)。一組の本数 \(n_x=n_y\) はせん断補強筋の
組数(
ShearBar::legs)を用います。 - 鉄筋継手: 柱頭・柱脚通しの主筋(=min(柱頭本数, 柱脚本数)。単一断面のため 全主筋本数)について階ごとに 1 個所、階高 7.0 m 以上は 7.0 m 毎にさらに 1 個所を加えます。
- 鉄骨(S・SRC・CFT): 種類別(断面名別)に長さと重量 \(W = L A \times 7.85\) を 集計します。SRC は内蔵 H 形鉄骨の断面積 \( 2 B_f t_f + (H_s - 2 t_f) t_w \) を用います。CFT は鋼管重量に加えて 充填コンクリート体積(内空断面 × H)を計上します(型枠は不要)。
大梁
寸法は柱フェイス間の内法長さ \( L = L_{node} - \mathrm{face}_i - \mathrm{face}_j \)
(RigidZone::face_*)によります。
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コンクリート体積(ハンチなし): \( B \times D \times L \)
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コンクリート体積(ハンチ付き): \[ B \times D \times L + \frac{(B+B_i)(D+D_i)}{4} L_i + \frac{(B+B_j)(D+D_j)}{4} L_j \] (ハンチ部は平均断面 × ハンチ長さで加算。ハンチ寸法は部材付帯情報 (ハンチ長 \(L_i\)・せい増分・幅増分。剛性には影響しない属性)から取得し、 ハンチ端の全幅 \(B_i = B + \Delta B\)・全せい \(D_i = D + \Delta D\) へ 換算して
member::girder_concrete_volumeで算定します。未入力の部材はハンチなし) -
型枠面積(両側スラブ厚が等しい場合): \[ \left( D' L + \frac{D_i-D}{2} L_i + \frac{D_j-D}{2} L_j \right) \times 2
- B L + \frac{B_i-B}{2} L_i + \frac{B_j-B}{2} L_j \] 側面のせい \(D'\) はスラブの有無によりスラブ厚 \(t\) を控除します: 両側スラブ付は両面 \(D-t\)、片側スラブ付は片面 \(D\)・片面 \(D-t\)、 スラブなしは両面 \(D\)。スラブの隣接はスラブ境界辺と梁の節点対の一致で 判定します。ハンチ部の型枠は傾斜を無視し底面・側面への投影面積とします。
-
主筋: 現状の部材モデルは全長 1 断面のため、1 断面(全断面)配筋の主筋長さで算定します。
端部条件 主筋 1 本の長さ 外端 - 内端(タイプ 7) \( L_o + L_2 + D_c/2 \) 両外端(タイプ 7a) \( L_o + L_2 \times 2 \) 両内端(タイプ 8) \( L_o + D_c/2 \times 2 \) \(L_o\): 内法長さ、\(L_2\): 外端の定着長さ(既定 35d)、\(D_c/2\): 柱せいの 半分(フェイス距離)。端部が外端か内端かは、当該節点から梁軸方向 (±45°)に連続する別の水平梁の有無で判定します。 2 断面・3 断面配筋(端部・中央の断面分割、カットオフ筋 +15d。タイプ 1〜6)は 部材が断面分割を持たないため対象外。
-
スターラップ: 一組の長さ \( 2 B + n D \)(\(n\): 一組の本数 =
legs)、 本数 \( L_o / \text{ピッチ} \)。 -
腹筋・幅止筋: 段数(入力値)がモデルにないため計上しません。
-
鉄筋継手: 梁毎に主筋 1 本あたり 0.5 個所、梁長さ 5.0 m 以上は 5.0 m 毎に 0.5 個所を加えます(圧接個所数として集計)。
基礎梁
コンクリート・鉄筋・継手は大梁と同じですが、型枠は基礎梁用の式
\[ D' L + \frac{D_i-D}{2} L_i + \frac{D_j-D}{2} L_j + B L + (B_i-B) L_i + (B_j-B) L_j \]
(側面 1 面+底面。大梁と異なり側面の ×2 は付きません)によります。 \(D'\) はスラブ(2 重スラブ指定時の耐圧版を含む)が取り付く場合にスラブ厚を 控除したせいです。基礎フーチングはモデルに定義がないため対象外です。
小梁
- コンクリート体積: \( B \times D \times L \)
- 型枠面積: \( (B + 2 D) \times L \)
- 鉄筋: 主筋重量 = 小梁コンクリート体積 × 0.8%、スターラップ重量 = 同 × 0.1% (鉄筋比 × 体積 × 鋼比重 7.85 t/m³ で重量化)
二次部材として配置した小梁・間柱は集計します。鉄骨は \( W = L A \times 7.85 \)、 RC・SRC の小梁は上表の体積・型枠、間柱は柱と同じ体積・型枠です。 同じ両端を持つ実部材の小梁があるときは線材側だけ数え、二次部材側では重複計上しません。 断面または材料が無い二次部材は集計しません。
床・片持ち床
- 面積: 床板(スラブ)境界の多角形面積(Newell の公式)とし、床が配置されていない 部分は計算しません。
- コンクリート体積: 面積 × 床厚としますが、デッキスラブのデッキ高さ控除は モデル未対応です。床厚は床ごとに割り当てた断面の板厚を用います (1.8 床の断面と自重)。断面が未割当の床は体積 0 と なりますが、その状態は解析前チェックがエラーで止めます。
- 型枠面積: 面積
- 鉄筋重量: 床コンクリート体積 × 1.0%(片持ち床・出隅も同率)
壁(耐震壁・フレーム内雑壁)
- 寸法: 幅は柱内法距離、高さは梁内法高さ(4 節点壁は周辺柱梁の断面寸法の
半分を芯々寸法から控除。自重算定
wall_clear_area_factorと同じ規則)としたうえで、 開口部面積を控除します。開口は壁版(WallPlate)が持ち、数量拾いの直前に 組み立てる解析用壁要素の合成属性(WallAttr)経由で読みます。 - コンクリート体積: 面積 × 壁厚
- 型枠(壁枠)面積: 面積 × 2
- 鉄筋: 横筋 \( (L + 2S) \times W \)、縦筋 \( (H + 2S) \times h \)。 \(S\): 定着長さ(35d)、\(W\)・\(h\): 本数。 モデルの壁配筋はせん断補強筋比 \(p_s\) のみ保持するため、本数 × 一本長さを 等価体積(横筋 \( p_s, t, H, (L+2S) \)、縦筋 \( p_s, t, L, (H+2S) \)、 仮定径 D10)に換算して算定します。開口部補強筋は考慮しません。
上記「壁」の数量は、解析要素になる壁版(条件は 4.5 壁エレメントモデル)だけが対象です。
解析要素にならない壁版(取り付く壁版〔パラペット・腰壁・垂れ壁・自立壁〕、 間柱で分割された壁版、壁領域の一部を占める腰壁・垂れ壁など)は、壁版から直接 (開口控除後の正味面積×壁厚)算定し、雑壁の区分へコンクリート体積・型枠面積を 計上します(配筋は考慮しません)。壁厚は断面から引くため、断面が割り当たっていない 壁版は数量に現れません。仕上げ・増打ちの面荷重は重さの入力であって厚さではないため、 コンクリート体積には含めません。この経路では周辺柱梁の 断面寸法の控除(内法化)を行わず、壁版の輪郭そのもの(芯々)で面積を求めます。 壁版は 取付き先や自由端を持ちうるため、四周の柱梁から内法を導く前提が成り立たないからです。 同じ壁でも、解析要素になる場合(内法)とならない場合(芯々)で数量がわずかに変わります。
ブレース
- 長さ: 節点間距離 \( L_B = \sqrt{L^2 + H^2} \)
- 各階・部材符号(断面名)毎に種類別の長さと重量 \( W = L_B \times A \times 7.85 \) を集計します。
- 接合部のプレート・ボルト等は考慮しない。
算定係数の既定値(QuantityCfg)
| 項目 | 既定 | 意味 |
|---|---|---|
anchorage_dia_factor | 35 | 主筋・壁筋の定着長さ係数(L2・S = 係数 × 呼び径) |
assumed_wall_bar_dia | 10 mm | 壁筋の仮定呼び径(壁は \( p_s \) のみ保持するため定着算定に使用) |
joist_main_ratio | 0.8% | 小梁主筋の鉄筋比(コンクリート体積比) |
joist_stirrup_ratio | 0.1% | 小梁スターラップの鉄筋比 |
slab_rebar_ratio | 1.0% | 床・片持ち床の鉄筋比 |
実装
- 算定式(純関数):
squid_n_design_jp::quantity::member - 鉄筋単位質量:
squid_n_design_jp::quantity::rebar - モデル走査・集計:
squid_n_design_jp::quantity::compute_quantity_takeoff(QuantityCfg::default) - GUI:
squid-n-app設計タブ「数量積算」(部位別・階別・明細・鉄骨種類別・ 鉄筋径別の切替、CSV エクスポート) - CSV:
squid_n_app::summary::build_quantity_csv(レポート CSV にも[数量積算 *]セクションとして常時出力) - MCP:
quantity_takeoffツール(group_by = category / story / steel / rebar / detail)