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7.4 形状係数 Fes(剛性率 Fs・偏心率 Fe)

7.4.1 剛性率 Rs・Fs

建築基準法施行令 第82条の6 と告示第1792号に基づき、剛性率 Rs(規定は \( R_s \ge 0.6 \))から Fs を算定します。

算定式

\[ K_s = h/\delta \]

\[ R_s = K_s/\mathrm{mean}(K_s) \]

\[ F_s = \begin{cases} 1.0 & (R_s \ge 0.6) \\ 2.0 - R_s/0.6 & (R_s < 0.6) \end{cases} \]

実装holding_capacity::{stiffness_ratios, fs} が算定し、δg は secondary::stiffness_ratio::cog_story_drifts です。 剛性率に使う層間変位は、柱の最大変位ではなく、重心位置の水平変位 δg です。 各層の δg は、上端の床レベル上の節点と下端の床レベル上の節点について、重心位置の水平変位の差として求めます。 δg は柱の層間変位とは別の量であり、中間節点は床レベルにないため平均には入れません。

7.4.2 偏心率 Re・Fe

建築基準法施行令第 82 条の 6 と告示第 1792 号に基づき、偏心率 Re から Fe を算定します。 規定は \( R_e \le 0.15 \) です。 剛心の求め方は、地震時の応力解析結果があるかどうかで分かれます。 解析結果があるときは柱の水平剛性から剛心を求め、ないときは武藤 D 値法の略算を使います。

算定式

D 値(一般階):

\[ D = a \cdot K_{c0} \]

\[ K_{c0} = 12EI_c/h^3 \]

\[ a = \bar{k}/(2+\bar{k}) \]

剛心と偏心距離:

\[ X_s = \sum(D_y \cdot x)/\sum D_y \]

\[ e_x = |X_g - X_s| \]

弾力半径:

\[ r_{ex} = \sqrt{K_R/\sum D_x} \]

\[ K_R = \sum(D_x \cdot \bar{y}^2) + \sum(D_y \cdot \bar{x}^2) \]

偏心率と Fe:

\[ R_e = e/r_e \]

\[ F_e = \begin{cases} 1.0 & (R_e \le 0.15) \\ \min(1.0 + 0.5(R_e - 0.15)/0.15, 1.5) & (R_e > 0.15) \end{cases} \]

実装holding_capacity::fe が Fe を算定します。 地震時の応力解析結果があるときは、柱の水平剛性を \( k_i = Q_i/\delta_i \) として剛心を求めます。 ここでの \( \delta_i \) は、層間変形角と同じく上下端床の変位差です。 中間節点で柱を分割するとセグメント単体の変位差は層高より短くなるため、連なりを 1 本の柱とみなします。 重心は、鉛直荷重を支持する柱の長期軸力を重みにして求めます。 引張の柱は鉛直荷重を支持しないため、重みに入れません。 この精算は secondary::eccentricity_analysis です。 応力解析結果がないときは、武藤 D 値法の略算(secondary::eccentricity)を使います。 略算でも中間節点で分割された鉛直材は連なりを 1 本の柱とみなし、層の上下端の高さを \( h \) として D 値を求めます。 セグメントの材長を \( h \) にすると \( 12EI/h^3 \) が過大になるためです。

雑壁の剛性(n 倍法)

柱・梁に囲まれていない壁も、階と階をつないでいれば層の剛性に効き、剛心を偏らせます。 これを等価な剛性要素として剛心とねじり剛性へ算入する方法が n 倍法です。 壁 1 枚の等価水平剛性 \( K_w' \) は、当該層の柱の剛性と断面積の比から求めます。

\[ K_w' = n \cdot A_w' \cdot \sum K_c / \sum A_c \]

\( A_w' \) は壁の平面長さ × 構造厚です。 構造厚は断面の板厚で、仕上げ・増打ちの面荷重(1.9 壁の断面と自重)は 重さの入力であって厚さではないため含めません。 方向別に \( K_{wx}' \)・\( K_{wy}' \) を求め、壁面内方向の方向余弦 \( (c_x, c_y) \) で \( D_x = K_{wx}' c_x^2 \)、\( D_y = K_{wy}' c_y^2 \) として、壁の平面中点に置きます。 \( \sum A_c = 0 \) の層では \( K_w' = 0 \) とします。

対象は自立壁(床領域に取り付く壁版)だけです。 腰壁・垂れ壁・パラペットは、フロア間で壁がつながっていないため層剛性に影響しません。 これらが周辺の柱梁へ及ぼす剛性は、袖壁・腰壁として部材の断面性能へ算入する経路 (4.1 ティモシェンコ梁要素)が受け持つので、 ここで等価剛性要素としても数えると二重に計上することになります。

自立壁も同じ基準で切り分け、立ち上がりが直上の階レベルに達している壁だけを対象とします。 床の上に立つ腰高のパーティションは階と階をつないでいないため、対象にしません。 断面が割り当たっておらず板厚を引けない壁も対象外です。 帰属する層は、壁の下端からその階の階高の半分だけ上がった高さがどの層に入るかで決めます。

既定値は \( n \) が未設定で、そのときは雑壁の剛性を考慮しません。

7.4.3 形状係数 Fes

形状係数 Fes は、剛性率による Fs と偏心率による Fe の積として算定します。

算定式

\[ F_{es} = F_s \cdot F_e \]

実装holding_capacity::fes が算定します。