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2.5 構造種別の判定(RC・S・SRC・CFT)

部材が RC 造か S 造かは、剛域長の算定式・仕口パネルを設けるか・断面検定にどの式を使うか・ 略算周期・数量積算のすべてに効きます。 本節はその判定規則を示します。

判定の順序

  1. 断面形状が複合断面なら、その種別で決まる
  2. それ以外は断面が持つ主材料の区分で決まる
  3. 主材料が割り当てられていない場合だけ、断面形状の系統で補う
断面形状構造種別
SRC 矩形SRC
CFT(角形・円形)CFT
上記以外主材料の区分による(下表)
主材料の区分構造種別
鋼材S
コンクリートRC
鉄筋RC

断面に主材料が割り当てられていない部材は、断面形状の系統を既定とします。 RC 矩形・RC 円形・RC 壁は RC、形鋼・鋼管は S です。 材料を付け忘れた鋼部材を一律 RC とすると、RC の剛域が入って架構が硬くなるためです。 断面形状も割り当てられていない部材は RC とします。

断面形状ではなく材料で判定する理由

断面形状は見た目であって力学的な性質ではないため、H 形のコンクリート部材も、 矩形断面の鋼部材もありえます。 材料の区分で判定すれば、任意の材料と任意の断面の組み合わせに対して、 どの式を適用すべきかが定まります。

SRC・CFT だけを断面形状で判定するのは、これらが 1 つの材料では表せない複合断面だからです。 SRC 矩形は内蔵鉄骨の材料を断面の専用の欄に持ち、CFT は主材料の \( F_c \) を 充填コンクリートの強度として使います。

鉄筋を主材料に割り当てた断面

鉄筋は材料としては鋼ですが、これを主材料に割り当てた線材は S 造ではないため RC として扱います。 主筋・せん断補強筋は断面の専用の欄に持つため、主材料へ鉄筋を割り当てるのは入力の誤りです。 増分解析・時刻歴応答解析では入力チェックが停止して是正を促します。

材料の区分の入力

区分は材料ごとに必ず持ちます。 「材料」タブのプリセットから追加した材料は、選んだ分類(鋼材・鉄筋・コンクリート)が そのまま区分になります。 直接入力で追加する場合は、E・ν・ρ と同じく必須の入力項目です。

区分は材料一覧の「区分」列でいつでも確認・変更できます。 区分を変えると剛域長・仕口パネルの対象・断面検定の式・数量積算がまとめて変わるため、 取り込んだモデルではまずこの列を確認してください。

ST-Bridge を取り込んだ場合は、グレード名から区分を決めます (Fc21 はコンクリート、SN400B は鋼材、SD345 は鉄筋)。 ST-Bridge は材料をグレード名で表す形式で、名称が物性を一意に定めるためです。 名前から決まらない材料は物性から推定し、\( F_c \) を持つものをコンクリート、 \( F_y \) だけを持つものを鋼材、どちらもないものをコンクリートとします。 判断がつかない場合にコンクリートへ寄せるのは、RC 部材を誤って鋼材にすると 鋼の検定式で評価されて検定比が過小になるためです。 推定した材料は取り込み後の通知に名前が並ぶので、「材料」タブで確認してください。

区分と断面形状が矛盾する場合

配筋を持つ断面(RC 矩形・RC 円形)に鋼材の材料を割り当てるのは入力の誤りです。 配筋を持つ断面はコンクリート断面であり、鋼材として検定すると素の断面積で 許容応力度を評価して耐力を大きく過大評価します。 増分解析・時刻歴応答解析ではこの組み合わせも入力チェックが停止します。

ですが、形鋼の断面にコンクリートの材料を割り当てるのは誤りではありません。 H 形のコンクリート部材は成立する入力であり、断面検定・剛域・数量積算のいずれも RC として扱います。 ただし増分解析・時刻歴応答解析のファイバー断面は形鋼の板要素を鋼材ファイバとして 組み立てるため、この場合も材料に \( F_y \) が要ります。

用途ごとの扱い

4 種別をそのまま使うのは断面検定と数量積算で、他の用途はより粗い区分へまとめます。

用途まとめ方
剛域長の算定式(4.1.4S・CFT を同じ側に置く
仕口パネルの対象(4.6同上
略算周期の構造種別(1.1 地震力CFT を SRC へ寄せる
断面検定の式の選択(6 章4 種別をそのまま使う
数量積算(10.1同上

剛域と仕口パネルが S と CFT を同じ側に置くのは、いずれも接合部の剛域長が 0 になり、 接合部の有限寸法を剛域で評価しないためです。 略算周期が CFT を SRC へ寄せるのは、\( T = h(0.02 + 0.01\alpha) \) が S の階ほど長く \( R_t \) が小さくなって地震力が下がるため、鋼管にコンクリートを充填した CFT を S へ寄せないほうが安全側になるためです。

階の構造種別も部材ごとの判定を集計して決めるため、材料の区分で決まります。 H 形の断面にコンクリートの材料を割り当てた部材は、その階を RC 側に数えます。

増分解析のヒンジ式だけは断面形状を優先します

曲げひび割れ \( M_c \)・曲げ降伏 \( M_y \) の算定は、配筋を持つ断面(RC 矩形・RC 円形) であれば材料の区分に依らず RC の式を使います。 鋼の全塑性モーメント \( M_p = Z_p \sigma_y \) は配筋を無視した素の断面係数を使うため、 RC 断面へ当てると \( M_y \) が桁で過大になり、増分解析で曲げヒンジが検出されなくなるためです。

実装squid_n_core::structure_kind が判定します。 断面形状から複合断面を見分ける関数と、材料がないときの既定を返す関数は、 いずれも網羅的な分岐で書かれているため、断面形状の種類が増えたときの追随漏れは コンパイル時に検出されます。