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小梁・床の断面検定

床の中の小梁とスラブの断面検定は、全体 FEM から独立して行い、設計タブの「小梁・床の設計」表に出します。表の「二次部材」列には小梁と間柱の両方が並び、間柱には「(間柱)」を付けて区別します。実際に載る荷重の分配は床荷重の分配のとおり床領域・床板の境界へ配るため、この検定は主架構の解析結果とは別に、小梁・床板それぞれを単純梁・一方向版とみなした略算です。

継続時間と法的対象

本表は長期の固定荷重+用途別積載荷重による略算です。主架構で選択した雪・風・地震・任意組合せについて、小梁・床は未検定です。 長期の曲げ・せん断・たわみ等の既存結果を保持し、短期許容値に置き換えたり、短期検定の合格として報告したりしません。 床板は長期鉄筋許容値による必要鉄筋量を算定します。実配筋の全検定や面内地震応答は扱いません。

構造耐力上主要な部分(令第1条第3号)の床版・横架材と、防火上の主要構造部(法第2条第5号)を区別してください。 小梁・床を全体FEMに含めないことだけでは、令第82条の必要な構造安全検討から除外できません。 実際の負担荷重・支持条件・用途に応じ、未対応の組合せや軸力・面内力は別途検討が必要です。 法令参照と確認済み範囲は荷重組合せを参照してください。

小梁の検定

架構の解析結果・接合部の診断結果がなく、架構の検定対象も選択していない状態では、小梁・床だけを直接検定できます。この実行では床小梁が対象で、架構の検定結果は生成しません。対象となる鋼小梁の入力不備は、その実行全体を停止します。

対象は床領域に所属する小梁と、所属先がない片持ち小梁です。 主架構との同一判定を満たす小梁は 主架構の一部としてここでは検定しません。基準両端が同じでも偏心・断面等が異なる小梁は対象に残ります。

この検定は曲げ・せん断・たわみだけを見て軸力を見ません。 これは「その小梁が載る床面が 1 枚の剛体で、面内力は剛床が処理している」ことを前提にしています。したがって次の二次部材は 検定の対象外とし、表には判定「未」の行として残します(表から消すと、検定されていないことに 気づけないためです)。

  • 間柱。壁版から受けるのは材軸方向の軸力で、地震時には壁の面外地震力による弱軸曲げも 受けます。軸力・面外曲げのいずれも本検定は扱いません。
  • 剛床でない床の小梁。床領域の境界節点が 1 つの剛床にすべて属していない床の小梁は、 面内力を負担するため上記の前提が成り立ちません。複数の剛床にまたがる床領域(段差床の階は 1 つの階に複数の剛床を持ちます)も、境界で相対変位が生じうるため対象外です。

なお、どの床領域にも所属しない小梁(片持ち小梁を除く)・どの壁領域にも所属しない間柱が あるモデルは、解析前チェックがエラーで止めます。 所属が決まらない二次部材は、どの床面・どの 構面に載っているかが確定しておらず、荷重の行き先も検定の可否も決められないためです。 所属先がない片持ち小梁は、取り付く床板の支持辺として荷重を受け、基端の鉛直反力で伝達する ため検定できます。

検定荷重は二次部材の反力の逐次伝達が 求めたものをそのまま使うため、小梁が受け持つのは次の 3 つの重ね合わせです (壁版から配られる自重は間柱だけが受けるため、小梁には現れません)。

  1. 床荷重の分配が小梁の材軸へ出した線荷重 (等分布・線形・三角形・台形・集中)
  2. 小梁自身の自重(自重算定と同じ \( \rho A g \)。鉄骨は有効重量割増。断面または材料が ない小梁には足しません)
  3. その小梁に架かる別の二次部材から渡された集中荷重

これを単純支持梁として重ね合わせ、曲げ・せん断・たわみを求めます。端部支持条件が 片持ち(基端が支持され、先端が自由な小梁)の場合は、基端まわりの片持ち梁として 重ね合わせます(端部支持条件は「床」タブの小梁一覧、編集コマンド、MCP で設定します)。

荷重の同期(解析へ渡す荷重)と断面検定は同じ経路を通るため、「解析では受け側が架け側の 反力を受けているのに、検定では受けていない」という食い違いは生じません。ただし荷重の値そのものは 一致しません。共有するのは支持関係の判定と伝達の手順であって、面荷重強度は用途ごとに違うためです。 小梁の検定では小梁用の面荷重(固定荷重+小梁用の積載荷重、LoadPurpose::Beam)を用います。 用途プリセットの小梁用は法令上 (い) 欄(床版と小梁で共通。官庁営繕「建築構造設計基準」等では「床版又は 小梁計算用」と整理)に同じで床用と同じ値ですが、任意入力では床用と小梁用を独立して指定できます (積載荷重)。

床板の境界が途中節点で分割されていても、小梁の材軸上に載る区間は全長へ合成します(両端節点の完全一致は要求しません)。部分区間の載荷も、材軸上の該当区間へ写します。大梁の材軸の方が近い辺荷重は小梁検定には載せません(10 mm 以内に並走する小梁が外周大梁の荷重を奪わないため)。同じ位置に小梁がある(材軸距離が大梁以下)場合は小梁側を優先します。1 本の辺荷重が複数の小梁材軸に載りうる場合は、端点の材軸距離が最小の 1 本だけに載せます。材軸とみなす許容差は 床荷重の分配(スラブ → 梁・柱) と同じ 10 mm です。

曲げ・せん断の最大値はスパンを 64 等分した点(端点を含む)で探します。たわみは曲率を 80 等分した台形積分で求め(両端支持は両端ピンの条件、片持ちは基端固定・先端自由の条件)、その最大絶対値を用います。ヤング係数は小梁断面の鋼材の \( E \)(未設定時は既定 \( 205000\ \mathrm{N/mm}^2 \))です。

たわみの制限は \( \delta/L \le 1/250 \) です。

次の小梁は部材力を算定せず、表に判定「未」として残します(OK ではありません)。診断タブは理由を分けて警告します。

  • 分配から荷重が得られない(段差床・傾斜小梁・床板境界外など)
  • 同じ床領域内で、境界が材軸に載り、かつその床板の分配がその辺へ線荷重を出す床板(期待床板)の寄与が 1 枚でも欠けている(内法の片側欠落。反対側に床板がない外周は片側のまま検定する)
  • 載荷区間の合計がスパンの半分未満(既定の下限は 0.5)
  • 断面係数が取れない
  • RC等、鋼小梁の略算に対応しない断面形状
  • 支持関係が一巡しているなど、逐次伝達が荷重を流せない(解析前チェックのエラーにもなる)

期待床板が 1 枚もない材軸には、床分配の線荷重を載せません(近くの大梁・別の小梁の辺を奪わないため)。

代表等分布 \( w \) は合計荷重 / スパンです。45° 分配の辺荷重は、負担幅一様(面荷重 × 間隔)より合計・曲げ・せん断が小さくなることがあります(共有辺の矩形例では等価 \( w \) が負担幅一様の約半分)。解析の大梁伝達と同じ分配を検定に使うためです。負担幅一様は小梁の需要を過大評価しうる(安全側になりうる)近似であり、本経路はそれより低い需要を出すことがあります。

小梁の許容曲げ応力度は、鋼材の長期許容値 \( ft = F/1.5 \) です。Fは通常鋼部材と同じ材種・実板厚の選択規則で決めます。既知材種の表のFを保存された降伏応力で上書きしません。

本経路は鋼小梁の検定です。RC等の断面形状の小梁を、鋼の検定へ読み替えません。断面未割当、鋼小梁の材料未割当・参照先不明・鋼材以外の割当、Fの解決に必要な板厚や直接入力強度の不備は、対象と理由を示して実行中の検定全体を停止します。該当小梁だけを「未」として正常完了にはしません。

記号・単位

記号意味単位
\( w \)代表等分布荷重(合計荷重 / スパン)N/mm
\( L \)小梁のスパンmm
\( \delta \)たわみmm
\( Z \)断面係数mm³
\( E \)ヤング係数N/mm²
\( F \)鋼材の基準強度(F 値)N/mm²
\( f_t \)鋼材の長期許容曲げ応力度N/mm²

実装参照:sepika_design_jp::floor::design_beam_from_forces(crates/sepika-design-jp/src/floor.rs)が検定し、荷重の重ね合わせと梁の最大曲げ・せん断・たわみは sepika_load::floor::simple_beam_extremes・cantilever_extremes と sepika_load::cascade::solve(crates/sepika-load/src/)が担います。端部支持条件の編集は sepika_edit::SetSecondaryMemberEndSupport(crates/sepika-edit/src/secondary.rs)・床タブの小梁一覧(sepika_app::tables::slabs、crates/sepika-app/src/tables/slabs.rs)・MCP で行います。

床(スラブ)の一方向検定

版があり板厚が正の床板だけを検定します(版 = 断面が割り当たり板厚が正)。 荷重は**床用の面荷重(固定荷重+床用の積載荷重、LoadPurpose::Floor)**を用います。 囲まれた床のうち、矩形の適用条件を満たす床は単純支持相当 \( M = wL^2/8 \)(係数 8)、取り付きは片持ち \( M = wL^2/2 \)(係数 2)です。 取り付きのスパン \( L \) は張り出し量の絶対値の大きい方(\( \max |extent| \))です。台形などで矩形寸法が取れなくても、この \( L \) が正なら検定します。 斜めの平行四辺形などの囲まれた非矩形床は、この一方向版検定の結果を生成しません。 版なし・スパン非正・厚さ 0 は検定しません。

記号・単位

記号意味単位
\( M \)単位幅あたりの設計曲げモーメントN·mm/mm
\( w \)床の面荷重N/mm²
\( L \)床のスパン(取り付きでは張り出し量)mm

実装参照:sepika_design_jp::floor::design_slab_oneway(crates/sepika-design-jp/src/floor.rs)が算定します。