鋼構造 断面検定
鋼構造の断面検定を、鋼構造設計規準・告示平13国交告第1024号に基づいて行いますが、幅厚比による断面性能の低減は考慮しません(幅厚比は部材ランク判定 (部材ランク)で別途評価します)。
S 造柱梁接合部では、検定比を \( |{}_p M|/{}_p M_y \) とし、1.0 以下を適合とします。
記号・単位
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| \( \sigma_{ax} \) | 軸力による応力度 | N/mm² |
| \( \sigma_{by}, \sigma_{bz} \) | 強軸・弱軸まわりの曲げ応力度 | N/mm² |
| \( N \) | 軸力 | N |
| \( M_z, M_y \) | 強軸・弱軸まわりの曲げモーメント | N·mm |
| \( A \) | 断面積 | mm² |
| \( Z \) | 断面係数 | mm³ |
| \( f_c \) | 座屈を考慮した許容圧縮応力度 | N/mm² |
| \( f_b \) | 許容曲げ応力度 | N/mm² |
| \( f_t \) | 許容引張応力度 | N/mm² |
| \( F \) | 鋼材の基準強度(F 値) | N/mm² |
| \( \lambda \) | 座屈長さと断面二次半径から求める細長比 | - |
| \( l_{ky}, l_{kz} \) | 強軸・弱軸まわりの座屈長さ | mm |
| \( i_y, i_z \) | 強軸・弱軸まわりの断面二次半径 | mm |
| \( C \) | 横座屈修正係数 | - |
| \( l_b \) | 圧縮フランジの支点間距離(横座屈長さ) | mm |
算定式(梁)
軸力・曲げによる応力度:
\[ \sigma_{ax} = |N|/A,\quad \sigma_{by} = |M_z|/Z,\quad \sigma_{bz} = |M_y|/Z_{\text{弱軸}} \]
円形鋼管は強軸・弱軸の曲げモーメントを合成した \( \sigma_b \) で代表させます:
\[ \sigma_b = \sqrt{M_z^2 + M_y^2}/Z \]
軸力+二軸曲げの組合せ検定。圧縮時(\( f_c \) は座屈を考慮した許容圧縮応力度):
\[ \sigma_c/f_c + \sigma_{by}/f_b + \sigma_{bz}/f_t \le 1.0 \]
(円形鋼管は \( \sigma_c/f_c + \sigma_b/f_b \))。引張時:
\[ (\sigma_t + \sigma_{by} + \sigma_{bz})/f_t \le 1.0 \]
(円形鋼管は \( (\sigma_t + \sigma_b)/f_t \))。組合せ検定とは別に、単独曲げの検定 \( \sigma_{by}/f_b \)(円形鋼管は \( \sigma_b/f_b \) で代替)・\( \sigma_{bz}/f_t \) も行い、いずれも検定比として扱います。
許容圧縮応力度 \( f_c \) は、強軸・弱軸それぞれの座屈長さによる細長比のうち大きい方で算定します:
\[ \lambda = \max(l_{ky}/i_y,\ l_{kz}/i_z),\quad i_y = \sqrt{I_y/A},\quad i_z = \sqrt{I_z/A} \]
(\( l_{ky} \): 強軸まわり座屈長さ、\( l_{kz} \): 弱軸まわり座屈長さ。両者とも部材長のとき \( \lambda = l_k/i_{\min} \)、\( i_{\min} = \sqrt{\min(I_y, I_z)/A} \) に一致します。)
\( l_{ky}, l_{kz} \) は次の優先順位で解決します: 直接入力(部材単位、SteelDesignAttr.lk_y_direct/lk_z_direct)> 柱の自動算定(軸別座屈長さ係数 K×部材長。柱の座屈長さ係数 K 参照)> 部材長。直接入力は柱に限らず梁・ブレースでも有効であり、柱の自動算定は柱のみに適用されます。
実装参照:この優先順位による \( l_{ky}, l_{kz} \) の解決は sepika_design_jp::member_design_check::run_member_design_checks(crates/sepika-design-jp/src/member_design_check.rs)が行い、柱の自動算定は sepika_design_jp::steel::buckling::steel_column_k_axes_with_index を用います。
せん断の検定
せん断応力度は \( \tau_y = |Q_y|/A_y \le f_s \)、\( \tau_z = |Q_z|/A_z \le f_s \) とし、せん断有効断面積 \( A_y, A_z \) は梁・柱共通の単一定義として断面形状ごとに次式によります:
- H 形: \( A_y = t_w(H - 2t_f) \)、\( A_z = 2Bt_f/1.5 \)
- 角形鋼管(角部外半径 \( r \) は断面定義時の入力値。\( r=0 \)(未入力)の場合は角部を直角とみなし \( A_y = 2t(H-2t) \)): \( r>0 \) では \( A_y = 2{t(H-2r) + \pi t(2r-t)/4} \)(\( A_z \) は \( H \) を \( B \) に置換した同式)
- 円形鋼管: \( A_y = A_z = \pi t (D - t)/2 \)
- その他の形状: 断面データのせん断有効断面積 \( A_{sy}, A_{sz} \) があればその値、なければ全断面積 \( A \) を用いる
この \( A_y, A_z \) は検定用の有効断面積です。 要素剛性(ティモシェンコ梁の \( GA_s \))に用いる \( a_{s,y}, a_{s,z} \)(せん断有効断面積 As)とは値が異なります。 H 形では、検定側がウェブの内法せい \( H - 2 t_f \) を用い、フランジ側を 1.5 で除する点が剛性側と異なります。
von Mises 合成
H 形は強軸側・弱軸側の 2 式のうち大きい方を検定比とします:
\[ \max\left(\dfrac{\sqrt{(\sigma_{ax}+\sigma_b')^2+3\tau_y^2}}{f_t},\ \dfrac{\sqrt{(\sigma_{ax}+\sigma_{by}+\sigma_{bz})^2+3\tau_z^2}}{f_t}\right) \]
ここで \( \sigma_b' = \sigma_{by}(H-2t_f)/H \) はウェブ端の曲げ応力度です。角形鋼管は次式によります(H 形・角形・円形以外の一般形状にも、安全側の一般化として同式を適用します):
\[ \sqrt{(\sigma_{ax}+\sigma_{by}+\sigma_{bz})^2+3\max(\tau_y,\tau_z)^2}/f_t \]
円形鋼管は中立軸位置で検定します(曲げ応力度の寄与はありません):
\[ \sqrt{\sigma_{ax}^2+3(\tau_y^2+\tau_z^2)}/f_t \]
梁の検定比は、上記の組合せ検定・単独曲げ検定・せん断検定・von Mises 合成の各比のうち最大値とします。
許容曲げ応力度 fb(横座屈、H 形の強軸のみ考慮。他形状は \( f_b = f_t \))
ライブラリ API 内部では、鋼構造設計規準 1973 年版(Standard1973)と鋼構造許容応力度設計規準 2019 年版(Asd2019)を指定できます。ただし、通常の App / MCP の断面検定では SteelFbBasis::default() により Asd2019 を使用し、現状は UI・MCP・モデル設定から Standard1973 を選択できません。
圧縮フランジの支点間距離(横座屈長さ)\( l_b \) は、次の優先順位で解決します: 直接入力(部材単位、始端・中央・終端の区間別)> 等間隔横補剛本数 \( n \) による自動算定 \( l_b = L/(n+1) \) > 部材長 \( L \)。区間別の直接入力は、評価位置に応じて始端側(部材軸方向の無次元位置 0.25 未満)・中央(0.25〜0.75)・終端側の値を用います。
Standard1973:
\[ f_b = \max(f_{b1}, f_{b2}) \le f_t \]
\[ f_{b1} = F(2/3 - (4/15)(l_b/i)^2/(C \cdot \Lambda^2)) \]
\[ f_{b2} = 89000/(l_b \cdot h/A_f) \]
断面二次半径 \( i \) は、圧縮フランジと、せいが部材せいの 1/6 のウェブからなる T 形断面で算定します(ウェブ部の高さは \( \max(h/6 - t_f,\ 0) \))。上下フランジの形状が異なる組立 H 形(BH)は、どちらが圧縮側か特定できないため、上下フランジそれぞれで求めた T 形断面のうち \( i \) が小さい側を安全側として採用します。
Asd2019(AIJ-ASD19):
\[ M_y = F \cdot Z,\quad M_e = C\sqrt{\dfrac{\pi^4 E I_z E I_w}{l_b^4} + \dfrac{\pi^2 E I_z G J}{l_b^2}} \]
\[ \lambda_b = \sqrt{M_y/M_e},\quad {}_e\lambda_b = 1.29,\quad \nu = 3/2 + (2/3)(\lambda_b/{}_e\lambda_b)^2 \]
\[ f_b = \begin{cases} F/\nu & (\lambda_b \le {}_p\lambda_b) \\ \left(1 - 0.4\dfrac{\lambda_b - {}_p\lambda_b}{{}_e\lambda_b - {}_p\lambda_b}\right)F/\nu & ({}_p\lambda_b < \lambda_b \le {}_e\lambda_b) \\ F/(2.17\lambda_b^2) & ({}_e\lambda_b < \lambda_b) \end{cases} \]
長期の上限は \( F/1.5 \)、短期は長期の 1.5 倍(上限 \( F \))とします。塑性限界細長比 \( {}_p\lambda_b \) は、横補剛区間内で曲げモーメントが最大となる場合は 0.3、区間内で単調に変化する場合は \( 0.6+0.3(M_2/M_1) \)(\( M_2/M_1 \) は複曲率で正・単曲率で負)とします。端部モーメントの情報がない場合は安全側の 0.3 とします。
曲げねじり定数 \( I_w \) は、H 形で \( I_w = I_z (h - t_f)^2/4 \)、上下フランジの形状が異なる組立 H 形(BH)で \( I_w = h_f^2 \cdot I_u I_l/(I_u + I_l) \)(\( h_f \): 上下フランジ重心間距離、\( I_u, I_l \): 上下フランジ単独の弱軸まわり断面二次モーメント)とします。せん断弾性係数 \( G \) は材料に入力があればその値、なければ \( E/(2(1+\nu)) \) によります。サンブナンのねじり定数 \( J \) は断面性能のねじり定数を用います。
部分補剛区間で区間端部モーメントを入力・復元できない場合は、端部モーメント比によらず安全側の pλb=0.3 とします。全長区間では端部モーメントが利用できる場合に既存の M2/M1 式を用い、情報がない場合は安全側の 0.3 とします。
横座屈修正係数(両基準に共通):
\[ C = 1.75 + 1.05(M_2/M_1) + 0.3(M_2/M_1)^2 \le 2.3 \]
\( M_1 \) は座屈区間両端の強軸曲げモーメントの絶対値が大きい方、\( M_2 \) は小さい方で、\( M_2/M_1 \) は複曲率(反曲点あり)で正・単曲率で負とします。自動算定では次の場合に安全側の値を用います:
- 座屈区間中央の曲げモーメントが両端より大きい(区間内で最大となる)場合は \( C = 1.0 \)。
- 横補剛により座屈区間 lb が部材の部分区間となる場合は、区間端モーメント比が不明なため自動算定の \( C = 1.0 \)。
- 端部モーメントの情報がない場合は \( C = 1.0 \)(もっとも不利な等曲げ分布相当)。
横座屈修正係数 C は、SteelDesignAttr.c_direct により部材単位で直接入力できます(正値。0 以下は無効入力として無視します)。入力がある場合は自動算定(上記の \( M_2/M_1 \) 式・上限 2.3・安全側の \( C=1.0 \) 規定)を行わず入力値をそのまま採用します。したがって部分補剛区間でも正値の c_direct が優先されます。
断面欠損を考慮した断面係数 Z′(H 形の強軸曲げ)
継手部の欠損率 \( \beta_f \)(フランジ [%])・\( \beta_w \)(ウェブ [%])、端部スカラップによるウェブ欠損率 \( \alpha_w \) [%] が部材に入力されている場合、H 形の強軸曲げ応力度は欠損を考慮した断面係数 \( Z' \) で算定します。全断面の強軸断面二次モーメントをフランジ寄与分 \( I_f = (B H^3 - B(H-2t_f)^3)/12 \) とウェブ寄与分 \( I_w = t_w (H-2t_f)^3/12 \) に分解し:
\[ I_f' = I_f (1 - \beta_f/100),\quad I_w' = I_w (1 - \beta_w/100) \]
端部(評価位置が部材軸方向の無次元位置 0.25 以下または 0.75 以上)は、スカラップを考慮したウェブ寄与分に置き換えたうえで \( \beta_w \) も乗じます:
\[ I_w'' = \frac{t_w {(H-2t_f)(1-\alpha_w/100)}^3}{12} (1 - \beta_w/100) \]
\[ Z' = (I_f' + I_w')/(H/2) \]
(端部は \( I_w' \) を \( I_w'' \) に置き換えます。)
参考情報(検定比に含めない)
梁の検定では、次の 2 項目を検定比に含めない参考情報として併記します。
- 大梁の必要横補剛数(保有耐力横補剛・均等間隔配置。昭55建告1791号第2・技術基準解説書): 弱軸細長比 \( \lambda_y = L/i_{\text{弱軸}} \)(\( i_{\text{弱軸}} = \sqrt{I_z/A} \))に対し、400N/mm² 級(F=235, 215)は \( \lambda_y \le 170 + 20n \)、それ以外(490N/mm² 級等)は \( \lambda_y \le 130 + 20n \) を満たす最小の補剛本数 \( n \) を求める。
- たわみ(長期のみ): モーメント図を 2 次曲線分布(等分布荷重相当)と仮定し、単純梁中央モーメントを \( M_0 = |M_c| + (|M_L| + |M_R|)/2 \)(\( M_c \): 部材中央、\( M_L, M_R \): 両端の曲げモーメント)として
\[ S = \frac{5 M_0 l^2}{48EI} - \frac{(M_L + M_R) l^2}{16EI} \]
を算定しますが、変形制限(例: \( l/300 \))による合否判定は行わず、算定値の出力のみとします。 分割された梁要素を一本の梁として扱う場合、中央モーメント \( M_c \) は A 式(端部せん断と釣り合う等分布荷重の単純梁中央モーメントから端部モーメントの平均を差し引いた復元値)と B 式(グループ中央位置に最も近い評価行のモーメント)の絶対値の大きい方(符号は B 式に合わせる)とします。
算定式(柱・ブレース)
柱(座屈考慮 fc):
\[ \sigma_c/f_c + \sigma_{bX}/f_{bX} + \sigma_{bY}/f_{bY} \le 1.0 \]
- ブレース: 圧縮 \( \sigma_c/f_c \)、引張 \( \sigma_t/f_t \)
柱の \( f_{bX} \)(H 形強軸)も、梁と同じ許容曲げ応力度 fb の算定式(Standard1973・Asd2019 の選択、横座屈修正係数 C の直接入力を含む)によりますが、lb には柱の階高(ctx.length)を用います。
柱のせん断検定は、梁と同じせん断有効断面積 \( A_y \)(上記「せん断の検定」の定義)を用い、H 形・角形鋼管は強軸せん断 \( \tau = |Q_y|/A_y \)、円形鋼管(\( A_y = A_z \))とその他の形状は合成せん断 \( \tau = \sqrt{Q_y^2 + Q_z^2}/A_y \) として、von Mises 型 \( \max(\sqrt{\sigma^2+3\tau^2}/f_t,\ \tau/f_s) \) で検定します。
実装参照:sepika_design_jp::steel::{beam, column, brace, section} が検定するほか、断面欠損を考慮した Z'、および横座屈長さ lb の解決も実装しています。
柱の座屈長さ係数 K
柱の座屈長さ係数 K を、鋼構造塑性設計指針 式(6.65)〜(6.67)に基づいて算定します。 水平移動非拘束(sway)を前提とし、強軸まわり K_y・弱軸まわり K_z を個別に評価します。
算定式
\[ \frac{G_A \cdot G_B \cdot x^2 - 36}{6(G_A + G_B)} = \frac{x}{\tan(x)} \]
\[ x = \pi/K \]
(\( K \ge 1 \))
\[ G_a = \sum (E \cdot I_{\text{eff}}/L)_{\text{柱}}/\sum (E \cdot i_y \cdot \cos^2\theta/L)_{\text{梁}} \]
(\( a \in {y(\text{強軸}), z(\text{弱軸})} \))。ピン端・取付部材なしは \( G_a = 10 \) とします。
軸別評価
柱・梁それぞれの局所軸から、評価方向(強軸 y または弱軸 z のたわみ方向)の水平投影単位ベクトルを求め、次の重みで G を軸ごとに集計します:
- 梁: 梁材軸の水平投影と評価方向のなす角の余弦の 2 乗 \( \cos^2\theta \) を \( E \cdot i_y/L' \) に乗じます(面内(鉛直面)曲げは強軸 \( i_y \) とする仮定を維持し、角度のみ重み付けします)。評価方向に平行な梁が節点回転をもっとも拘束し、直交する梁は寄与しません。当該節点側の梁端が \( \text{Pinned} \) の場合、その梁は節点回転を拘束しないため G の梁側の集計に算入しません(
SemiRigidは剛接合とみなします)。 - 柱(評価対象の柱自身を含む): その柱自身の強軸たわみ方向と評価方向のなす角 \( \cos^2\beta \) により、断面二次モーメントを \( I_{\text{eff}} = I_y \cdot \cos^2\beta + I_z \cdot (1-\cos^2\beta) \) へ投影します(評価対象の柱自身は \( \cos^2\beta=1 \) となり \( I_y \)(強軸側)/\( I_z \)(弱軸側)にそのまま一致します)。
- 部材種別は
FrameSectionUseから解決したMemberKindを用います。Braceは剛度比から除外し、Girder・Columnは傾斜していても用途どおりに集計します。部材軸の鉛直成分は、部材種別の分類ではなく、各評価方向への水平投影の重み付けにだけ用います。 - \( L' \) は柱・梁とも剛域控除後の内法長(\( L' = \) 節点間長さ \( - \) 始端剛域長 \( - \) 終端剛域長。\( L' \le 0 \) となる場合は節点間の幾何学的長さにフォールバックする)。
評価方向の水平投影が縮退する(部材がほぼ鉛直で水平方向が定まらない)軸は、方向を区別しない評価(\( I_y \) を全部材で用いる簡略版と同じ G)にフォールバックします。方向を区別しない簡略版は、梁の結合状態(ピン接合を含む)を考慮せず、剛域による材長補正も行いません。
いずれの版も、支点(節点の境界条件)の状態・梁の遠端の結合状態は考慮しません。
記号・単位
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| \( K \) | 柱の座屈長さ係数 | - |
| \( G_A, G_B \) | 柱頭・柱脚節点における柱と梁の剛度比 | - |
| \( E \) | ヤング係数 | N/mm² |
| \( I_{eff} \) | 評価方向へ投影した柱の有効断面二次モーメント | mm⁴ |
| \( i_y \) | 梁の強軸まわりの断面二次モーメント | mm⁴ |
| \( L, L' \) | 部材長・剛域控除後の内法長 | mm |
実装参照:sepika_design_jp::steel::buckling(crates/sepika-design-jp/src/steel/buckling.rs)が算定します。方向を区別しない簡略版は steel_column_k/steel_column_k_with_index です。
梁・ブレースの座屈長さ
梁・ブレースは座屈長さ係数 K の自動算定を行わないため、直接入力がない場合は部材長(節点間の距離。K=1 相当)を座屈長さとします。K 係数法(水平移動非拘束の骨組の剛度比)は柱のみに適用されます。
実装参照:部材種別に基づく軸別の座屈長さ係数は sepika_design_jp::steel::buckling::steel_column_k_axes_with_index(crates/sepika-design-jp/src/steel/buckling.rs)が算定し、梁・ブレースの座屈長さも sepika_design_jp::member_design_check::run_member_design_checks(crates/sepika-design-jp/src/member_design_check.rs)が直接入力を優先し、直接入力がなければ部材長を座屈長さとします。
S 造柱梁接合部
S 造柱梁接合部を、鋼構造接合部設計指針に基づいて検定します。
算定式
\[ {}_p M_y = (V_e/\kappa) \cdot \sqrt{\max(0, 1 - n^2)} \cdot F_y/\sqrt{3} \]
検定する接合部
取り付く柱・梁がすべて S 造(CFT を含む)で、諸元を解決できる柱が 1 本以上ある柱梁接合部を検定します。構造種別は材料の区分で決まります(構造種別の判定)。RC/SRC の柱や梁が 1 本でも取り付く接合部は、S 造柱梁接合部の式が前提とする挙動から外れるため、この式では検定しません。組立 H 形柱はそれ自体から諸元を解決しませんが、他に H 形鋼・鋼管・CFT など解決可能な柱が 1 本以上あれば、その柱を採用して検定します。 RC/SRC を含む接合部は RC 柱梁接合部・SRC 柱梁接合部の断面算定が担います。斜材(ブレース等)は この判定の対象外です。
仕口パネル要素のモデル化対象は S 造(CFT を除く)で、CFT 柱を 1 本でも含む接合部はモデル化しません。一方、柱梁接合部の断面算定は S 造(CFT を含む)を対象とします。CFT の接合部は仕口パネル要素を生成しませんが、鋼管部を S 造と同じ式で評価できるため柱梁接合部の検定は行います(仕口パネル要素)。
諸元
H 形鋼・角形鋼管・円形鋼管では、形状係数 κ(H形/角形/円形)と実効体積 Ve を
仕口パネル要素と同じ断面形状・梁断面から解決します。
柱が複数取り付く節点では、諸元を解決できる候補柱の正の実効体積 Ve のみを比較し、Ve が最小の柱を採用します。同じ Ve の場合は要素順で先に現れる柱を採用するため、入力順に依存します。柱梁接合部の断面算定では、採用柱の諸元から d_c・t_p・κ・軸力比 n・基準強度 F_y を算定します。仕口パネル要素を生成しない CFT では、以下のとおり柱梁接合部の断面算定専用の諸元として解決します。
CFT 柱梁接合部の諸元
CFT の V_e は、充填コンクリートを含む等価断面の体積ではなく、鋼管の断面形状から求める柱梁接合部の実効体積です。CFT 角形は d_c = せい − 板厚、CFT 円形は d_c = 外径 − 板厚 とし、t_p は入力された「パネル板厚 tp」を優先し、未入力なら鋼管の板厚を用います。d_b は取り付く梁の最大値(H 形鋼はせい − フランジ厚、それ以外は 0.9 × せい)です。したがって、いずれも V_e = 2 d_c d_b t_p です。
CFT の κ は鋼管の形状係数で、ここで b_c は CFT 柱の外側の幅です。角形は 1/(2/3 + 2 b_c/d_c) + 1/(1 + d_c/(3 b_c))、円形は 4/π です。CFT の n は、検定対象柱の解析軸力のうち圧縮側を、鋼管の基準強度 F_y と CFT 断面データの鋼管断面積 A の積で除した柱梁接合部用の軸力比です。引張側は n = 0 とし、n は 1.0 でクランプします。
CFT の F_y は、CFT 柱の Section.steel_material の鋼種名と実板厚、または正の有限値 fy から解決します。解決不能な材料は解析前エラーとし、235 N/mm² の補完は行いません。これは充填コンクリートの F_c や CFT の等価断面性能から求める値ではありません。
CFT 柱梁接合部の降伏耐力は、上記の算定式にこの専用諸元を代入して求めます。仕口パネル要素の非線形ばねに限る 2 % 下限は、CFT では仕口パネル要素を生成しないため適用せず、柱梁接合部の断面検定にも適用しません。
柱梁接合部の設計用モーメント
\( {}_p M \) は、仕口パネル要素をモデル化した節点では解析が 出力する仕口パネル要素のせん断モーメント \( M_{SX} \)・\( M_{SY} \) のうち絶対値の大きい方を、 モデル化していない節点では \( {}_p M = {}_b M_L + {}_b M_R - ({}_c Q_U + {}_c Q_L) \cdot d_b/2 \) を用います。 本検定は仕口パネル要素のモデル化の有無に依らず常に行います。
記号・単位
| 記号 | 意味 | 単位 |
|---|---|---|
| \( {}_p M_y \) | 柱梁接合部の降伏耐力 | N·mm |
| \( {}_p M \) | 柱梁接合部の設計用モーメント | N·mm |
| \( V_e \) | 柱梁接合部の断面算定に用いる実効体積(仕口パネル要素をモデル化した場合は要素の実効体積と共通) | mm³ |
| \( \kappa \) | 柱梁接合部の形状係数(H形/角形/円形) | - |
| \( n \) | 柱梁接合部の検定に用いる対象柱の軸力比 | - |
| \( F_y \) | 柱梁接合部に用いる柱側鋼材の基準強度(F 値) | N/mm² |
| \( d_b \) | 梁フランジ板厚中心間距離 | mm |
| \( M_{SX}, M_{SY} \) | 解析が出力する X・Y 方向の仕口パネル要素のせん断モーメント | N·mm |
| \( {}_b M_L, {}_b M_R \) | 左・右梁端のフェイスモーメント | N·mm |
| \( {}_c Q_U, {}_c Q_L \) | 上・下柱のせん断力 | N |
実装参照:sepika_design_jp::steel::panel_zone(crates/sepika-design-jp/src/steel/panel_zone.rs)が柱梁接合部を検定します。
冷間成形角形鋼管柱の柱梁耐力比
冷間成形角形鋼管柱の柱梁耐力比を、2008年版「冷間成形角形鋼管の柱に用いる角形鋼管設計・施工マニュアル」に基づいて算定します。
算定式:耐力低減 νu(\( n \le 0.5: 1 - 4n^2/3 \)、\( n > 0.5: 4(1-n)/3 \))、要求値 \( \min(1.5 \cdot \sum M_{pb}, 1.3 \cdot M_{pp}) \)。
実装参照:sepika_design_jp::steel::cold_formed(cold_formed.rs)が算定し、存在軸力は \( N = N_L + 1.5 \cdot N_E \) とします。