床の断面と自重
本節では、床(スラブ)が持つ断面と、そこから決まる板厚・自重について紹介します。
床は断面を持ちます。 断面には符号・板厚・コンクリート材料がそろっており、床の板厚も自重もここから決まります。 柱や大梁と同じく「符号を決めて割り当てる」形へそろえることで、床の諸元を探す先が 断面 1 か所に定まります。
板厚と自重は断面から決まる
床の板厚は、割り当てた断面の板厚をそのまま用います。 自重は板厚 \( t \) と断面の主材料(コンクリート)の単位体積重量 \( \gamma \) から、 使うたびに算定します。
\[ w_{\text{自重}} = t \times \gamma \]
自重を面荷重として固定値で持たせないのは、そうすると板厚や材料を変えたときに自重が 追随せず、断面と重量が食い違ったモデルを作れてしまうためです。 床の固定荷重(DL)は、この自重に床の面荷重(仕上げ等)を足したものになります。 積載荷重は室の用途から決まるため断面には含みません(積載荷重)。
断面が未割当の床は解析前チェックで止まる
断面が未割当の床、および断面に主材料が割り当てられていない床があるモデルは、準備計算の モデル整合性チェックと解析前チェックがエラーで停止します。 床の自重が算定できないまま解析へ進むと、長期荷重が過小なまま応力が出るためです。
既定の板厚 150 mm やコンクリート Fc21 で補うことはしません。 根拠のない数値で床の重量を作ると、入力し忘れたことに気づけないまま設計が進みます。
建物一律の「剛性計算用のスラブ厚」(既定 0 mm。部材剛性)とは 別の値なので注意してください。 床の自重・検定・型枠控除に使う厚さは、その床板(スラブ)へ割り当てた断面の板厚です。 剛性計算用スラブ厚は、囲まれた床板を持つ梁の協力幅算定で、対象の床板の板厚が取れないときの 控えにだけ使います。既定の 0 は「控えが無い」であり、断面未割当の床板をスラブありとはみなしません。
床の断面を作る
床の断面は、断面作成パネルで形状に「RC スラブ」を選び、板厚を入力して作ります。
断面一覧の断面形状の欄には S-t150 のように表示されます。
床は配筋を持たないため、断面の材料欄で有効なのは主材料(コンクリート)だけで、
主筋・せん断補強筋・内蔵鉄骨の欄は淡色の — になります。
床配筋は板厚とかぶり厚から算定するため、断面には配筋を持たせていません。
作った断面は、床タブの一覧の「断面」欄で床へ割り当てます。 候補に出るのは板厚を持つ断面だけです。 板厚のない断面を割り当てても自重も数量も算定できないため、選べないようにしています。
床を作る設定の架構作成ウィザードは、板厚 150 mm の断面 S15 を 1 枚だけ作り、全階の床へ
割り当てます(架構作成ウィザード)。
符号は板厚を変えても S15 のままなので、必要なら生成後に付け替えてください。
ウィザードで選んだコンクリート(既定は Fc21)も 1 つ作って断面へ割り当てるため、
生成した直後から床の自重が入ります。
実装参照:断面作成パネルは sepika_app::section_editor::section_editor_panel(crates/sepika-app/src/section_editor.rs)が「RC スラブ」の板厚入力を受け付け、架構作成ウィザードは sepika_core::frame_gen::frame_model(crates/sepika-core/src/frame_gen.rs、SLAB_SECTION_NAME = "S15"・DEFAULT_SLAB_CONCRETE = "Fc21")が板厚 150 mm の断面 1 枚とコンクリート 1 つを作って全階の床へ割り当てます。
ST-Bridge との対応
床・スラブ断面を含む ST-Bridge の要素別の取り込み・書き出し・往復の対応状況は、ST-Bridge 要素別 変換状況一覧を参照してください。
実装参照
- 床断面形状:
sepika_core::section_shape::SectionShape::RcSlab - 自重算定:
sepika_core::model::Model::slab_self_weight_intensity(crates/sepika-core/src/model/slab.rs、板厚 × 主材料の単位体積重量)。部材・壁・ダンパーの荷重ケース展開はsepika_load::self_weight::self_weight_case_content(crates/sepika-load/src/self_weight.rs)が担い、スラブを含みません - 解析前チェック(床未割当・主材料未割当):
sepika_solver::statics::analysis::precheck - 数量積算での床厚参照:
sepika_design_jp::quantity