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階の分布

建物概要(節点数・部材数・支点数・階数・剛床数・地盤面 GL・建物高さ \( h \)・鉄骨造高さ比 \( \alpha \)・地震用重量の総和 \( \Sigma W \)・質量モデル)と、層ごとの一覧を上から順に示します。

階と層

階は床であり、層は隣り合う 2 つの階の間です。階の一覧は基部の床から屋根の床までの 床レベル列で、先頭は必ず基部(柱脚・基礎梁のレベル)です。したがって層の数は階の数より 1 つ少なく、3 階建てなら階(床)は 1FL・2FL・3FL・RFL の 4 つ、層は 3 つになります。

法規上の「\( i \) 階」(層間変形角・層せん断力・剛性率・偏心率が対象とする範囲)は層のことです。 層と階の対応は実務の慣行に合わせています。

層の量由来
名前下端の階の階名(1FL と 2FL の間の層は「1F」)
階高上端の階の床レベル − 下端の階の床レベル
地震用重量 \( W_i \)・所属節点・階種別・主要構造種別上端の階

重量が上端の階なのは層の質量が上端の床に集中するためで、これにより最下層の層せん断力 \( Q_1 = C_1 (W_1 + W_2 + \cdots) \) が成り立ちます。基部の階に配分された重量(柱脚・基礎梁の 自重など)は地盤が直接受けるため、層の重量には算入せず、Ai 分布にも入りません。

階と剛床

階と剛床も別のものです。剛床は解析上の面内剛体拘束であり、1 つの階が剛床を持たないことも、 段差床のように 1 つの階が複数の剛床を持つこともあります。

このため、節点が階と剛床のどちらに属するかは、別々の規則で決まります。

対象帰属の規則
区間。直下階の床レベルを超え、当該階の床レベル以下にある節点
剛床床面。当該階の床レベルから 1 mm 以内にある節点

最下階(基部の床)だけは下端を含みます。基部の床の区間は基部レベルちょうどの 1 点で、 柱脚と基礎梁の節点がここに属するため、基礎伏図に柱脚・基礎梁が現れ、数量にも計上されます。

この違いは、柱を途中で分割した節点や、階高の途中に取り付く梁の節点に現れます。これらの 中間高さの節点は階に属しますが、剛床には入りません。階に属するため、その節点へ配分された 重量は階の地震用重量に算入されます。一方で面内剛体として拘束してよいのは同一床面の節点だけ であり、中間節点まで剛床に含めると、存在しない水平剛性が生じてしまいます。

段差床(同じ階に複数の床レベルがある場合)は、区間の規則により全体が同一の階に属し、 剛床は床レベルごとに分かれます。複数の剛床を持つ階の水平力は、剛床ごとの重量比で 按分します(1.1 地震力)。

基部の床にも剛床を作り、その代表節点の拘束は基部の節点が実際に水平へ動けるかで決めます。 柱脚が固定またはピンで水平拘束されている場合は、剛床を通じて代表節点へ水平剛性が写らない ため、代表節点も水平拘束とします。支点ばね(杭のばねなど)で水平に動ける場合は自由のままと して、基礎の質量が地盤ばねと連成して応答に効くようにします。代表節点には常に質量を与えます (水平拘束された基部では、その質量は応答に影響しません)。

動けるかどうかを判定する対象は、部材が接続する節点だけです。床の境界や小梁の支持点は、 床面にある以上その階の剛床に入りますが、部材が接続しないため解析の自由度を持ちません。 拘束がなくても代表節点へ剛性を写さないため、判定には数えません。1 階の床が基部にある建物で その床に小梁があると、基部の剛床は水平拘束された柱脚と拘束のない小梁支持点の混在になります。 後者まで「動ける」と数えると、代表節点の水平自由度が剛性を持たないまま残り、解析が 特異行列で止まってしまいます。

面内回転についても同じ考え方で、水平方向の並進が 1 つも動けない階では代表節点の面内回転 も拘束します。剛床の面内回転はスレーブ節点の並進を通じて剛性を受け取るため、並進が動けない 階では回転にも剛性が写らず、回転慣性だけを持つ自由度が残ってしまうからです。この自由度を 自由にしたままにすると、柱のねじり剛性しか支えがない極端に長い周期の振動モードが現れ、 固有値解析の 1 次モードを乗っ取って設計用固有周期を実際より長くしてしまいます。

階の定義と自動算定の分担

階の一覧のうち、階名・床レベル・階種別(一般 / PH / 地下)・地震用重量の手入力は 利用者が定めるデータで、準備計算は書き換えません。所属節点・剛床・地震用重量の算定値・ 主要構造種別は、節点と部材が決まってはじめて定まる派生値で、準備計算のたびに算定し直します。

ただし基部の床が定義されていない場合は、準備計算が先頭に補います。階が床レベル列であり その先頭が基部であることは、層の算定が依拠する前提だからです。これが崩れると最下層が層の 一覧から落ち、層間変形角・層せん断力が 1 層分欠けてしまいます。 このため、基部の階は床レベルを変更できず、削除もできません(階名は変更できます)。

階の削除は階の定義だけを消し、節点・部材は残します。削除した階に属していた節点は 所属を失い、次の階生成で直下階の区間へ吸収されます。その階の剛床拘束は取り除きます。

階が 1 つも定義されていないモデル(他形式からの取り込みなど)では、準備計算が節点の 標高をクラスタリング(許容差 1 mm)して階を初期化します。階名は下から 1F2F… とします。

階名が 1F から始まるのは、階名を床基準でそろえているためです。 Squid-n の階は床そのものであり、床レベルがその階の標高になります。最下レベル(基部)は 1FL であり、そこを代表する階の名前が 1F になります。ST-Bridge の階(StbStory)も 床基準(1F の高さが GL)のため、取り込んだモデルとアプリ内で作ったモデルで階名の意味が 一致します。

最上階も RF とはせず数字で通します。モデルの最上レベルが本当に屋根なのかはモデルからは 決められず、塔屋の床であることも、あとで上へ階を足すこともあるためです。屋根であれば階名を RF へ付け替えてください。 この既定名は、準備計算による初期化と架構作成ウィザードの両方で同じ規則を使います (架構作成ウィザード)。

階名は階ごとに違う名前にしてください。 階名は下の一覧・CSV の列見出しと、断面の符号+階に 使われます。同じ名前の階が 2 つあるとどの階の値なのかを判別できないため、 モデル整合性チェックがエラーとして挙げ、解析前チェックが 解析を止めます。前後の空白しか違わない名前も、表の上で区別できないため同名として扱います。

階名は利用者が定めるデータであり、2FLR のように付け替えれば、以後の準備計算でも その名前が保たれます(引き継ぎは床レベルで照合します)。

一覧の列

一覧の 1 行は 1 つのです。

内容
床レベル層の上端の階の標高 [mm](モデル座標)
階高上端の階と下端の階の標高差 [mm]
節点数上端の階に属する節点の数
剛床数上端の階に定義された剛床(ダイアフラム)の数
地震用重量 \( W_i \)層の地震用重量 [kN](固定荷重+地震用積載)
累積 \( \Sigma W_j \)当該層以上の地震用重量の合計 [kN]
構造・種別層の主要構造種別(RC / S / SRC)と階種別(一般 / PH / 地下)

剛床数が 0 の層、地震用重量が 0 の層は強調表示します。剛床のない階にも水平力は載りますが、 載荷先が剛床代表節点ではなく階の各節点になる(1.1 地震力) ため、意図した床面のモデル化になっているかを確認してください。 剛床のない階はモデル整合性チェックにも警告として並びます。 解析は止まりませんので、意図した入力であればそのまま進めてかまいません。

支点数には、階の生成が作る剛床代表節点(面外拘束を持つ仮想節点)は含めません。

主要構造種別は、その層に属する柱・梁の構造種別 (2.5 構造種別の判定)を集計して決めます。 RC を RC、S を S、鉄骨とコンクリートが一体で働く SRC・CFT を SRC とし、層に属する部材で もっとも多い種別を採ります。部材の所属は、材端節点のうちもっとも高い節点の所属階を上端と する層とします(層 \( i \) の階高区間にある柱は上端が層 \( i \) の上端の階に取り付き、 その階のレベルにある梁も層 \( i \) に属します)。種別ごとの本数が同数の場合、および断面も 材料も割り当てられていない部材だけの層は RC とします。主要構造種別は略算周期の鉄骨造高さ比 \( \alpha \)(1.1 地震力)にのみ効き、S の層が増えるほど 設計用固有周期 \( T \) が長く \( R_t \) が小さくなるため、判定が割れた場合に S を採らないことが 安全側になります。