Keyboard shortcuts

Press or to navigate between chapters

Press S or / to search in the book

Press ? to show this help

Press Esc to hide this help

7.3 部材ランク(FA〜FD)

昭和55年建設省告示第1792号と学会規準(RC 靭性、S 幅厚比)に基づき、部材ランク FA〜FD を、RC はせん断余裕度で、S は幅厚比で判定します。

算定式

  • RC 部材種別: 下記 7.3.0 の多変数表(\( h_0/D \)・\( \sigma_0/F_c \)・\( p_t \)・\( \tau_u/F_c \))で判定する。
  • S 部材種別: 下記 7.3.1 の幅厚比限界値表(部材種別・断面・部位・鋼種別)で判定する。
  • SRC 部材種別: 下記 7.3.2 の判定比(\( N/N_0 \)・\( {}_sM_0/M_0 \))と破壊モードの表で判定する。

実装secondary::ds_group が告示表による部材種別・部材群種別・Ds を、secondary::width_thickness が幅厚比を算定します。

7.3.0 RC 部材の種別

柱及びはりの種別

いずれも「せん断破壊、付着割裂破壊及び圧縮破壊その他の構造耐力上支障のある急激な耐力の低下のおそれのある破壊を生じないこと」を満たすことが前提で、これを満たさない場合は FD とします。

種別柱 \( h_0/D \)柱 \( \sigma_0/F_c \)柱 \( p_t \)柱 \( \tau_u/F_c \)はり \( \tau_u/F_c \)
FA2.5 以上0.35 以下0.8 以下0.1 以下0.15 以下
FB2.0 以上0.45 以下1.0 以下0.125 以下0.2 以下
FC0.55 以下0.15 以下
FDFA, FB 又は FC のいずれにも該当しない場合
  • \( h_0 \): 柱の内法高さ、\( D \): 加力方向の柱の断面せい
  • \( \sigma_0 \): Ds 算定時に柱の断面に生じる軸方向応力度
  • \( p_t \): 引張鉄筋比 [%]
  • \( F_c \): コンクリートの設計基準強度
  • \( \tau_u \): Ds 算定時に柱、梁の断面に生じる平均せん断応力度

本プログラムは \( \sigma_0, \tau_u \) をプッシュオーバー終局時(崩壊機構形成時)の部材応答から算定し、急激な耐力低下のおそれのある破壊はせん断先行(\( Q_{su} < Q_{mu} \))で判定します。

耐力壁の種別

「せん断破壊、その他の構造耐力上支障のある急激な耐力の低下のおそれのある破壊を生じないこと」が前提です。

種別壁式構造以外の構造の耐力壁 \( \tau_u/F_c \)壁式構造の耐力壁 \( \tau_u/F_c \)
WA0.20 以下0.1 以下
WB0.25 以下0.125 以下
WC0.15 以下
WDWA, WB, WC のいずれにも該当しない場合

本プログラムでの耐力壁の種別は、告示の表に加えて、開口低減とせん断頭打ちの到達を見て決めます。

\( \tau_u \) は、終局時の壁負担水平力 \( H \) を有効断面 \( t \cdot l_w \cdot r_2 \) で除して算定します。 開口があると壁板の有効断面が減るため、分母には耐力用開口低減率 \( r_2 \) を乗じます。 たとえば \( r_2 = 0.5 \) なら有効断面は半分になり、\( \tau_u \) は 2 倍になります。 \( r_2 \) は次の式です。

\[ r_2 = 1 - \max\left(r_0,; l_0/l_w,; h_0/h\right) \]

\[ r_0 = \sqrt{h_0 l_0 / (h l_w)} \]

開口が複数あるときは、面積等価の 1 開口へまとめてから上式へ入れます。 等価開口の幅は \( l_0 = \sum l_i \)、高さは \( h_0 = \sum(l_i h_i)/l_0 \) です。 複数開口のまとめ方は、包絡/面積等価/自動のうち、建物一律の設定に従います。 既定のまとめ方は面積等価です。 個別の開口寸法が未入力のときは低減しないため、\( r_2 = 1 \) とします。 \( r_2 = 0 \) になると有効断面が 0 になり \( \tau_u \) を求められないため、その壁は種別判定の対象から外します。 層のランクを 1 本も算定できないときは、設計タブで選んだランク(既定は FA)を使います。

「壁式構造」の列へ切り替えるかどうかは、設計タブの「壁式構造」チェックで決めます。 既定ではチェックを外した状態で、壁式構造以外の列を使います。 見るのは設計タブのチェックだけなので、階の構造種別からは自動では切り替えません。

増分解析の壁要素は、面内せん断を終局せん断強度 \( Q_u \) で頭打ちにする弾完全塑性としてモデル化します。 終局時の負担水平力が \( Q_u \) の 99 % 以上(\( H \ge 0.99, Q_u \))に達したときは、せん断が頭打ちに達したとみなし、種別を WD とします。 数値誤差を見込んで 100 % ではなく 99 % で切るため、頭打ちの直前で WA〜WC に残ることを避けます。 \( Q_u \) が 0 以下で算定できないときは、頭打ち判定を行いません。 求められない壁に脆性破壊を当てると応力度比と関係なく WD になるため、\( \tau_u/F_c \) の表だけで種別を決めます。 \( Q_u \) の算定にも、同じ \( r_2 \) を反映します(4.5 壁エレメントモデル)。

7.3.1 鋼材の幅厚比種別

鉄骨部材の種別は、板要素の幅厚比を限界値と比較して定めます(技術基準解説書「鋼材の幅厚比種別等」)。

幅厚比の計算方法

断面部位幅厚比
H 形鋼フランジ\( b/t_f \)(\( b \) はフランジ半幅 \( = B/2 \))
H 形鋼ウェブ\( (D - 2t_f)/t_w \)(内法せい)
角形鋼管(径厚比)\( B/t \)(全せい。内法ではない)
円形鋼管(径厚比)\( D/t \)(外径)

柱及びはりの種別

\( F \) は平成12年建設省告示第2464号第1に規定する基準強度 [N/mm²] です。

部材断面部位FAFBFCFD
H 形断面フランジ\( 9.5\sqrt{235/F} \)\( 12\sqrt{235/F} \)\( 15.5\sqrt{235/F} \)左記以外
H 形断面ウェブ\( 43\sqrt{235/F} \)\( 45\sqrt{235/F} \)\( 48\sqrt{235/F} \)左記以外
角形断面\( 33\sqrt{235/F} \)\( 37\sqrt{235/F} \)\( 48\sqrt{235/F} \)左記以外
円形断面\( 50(235/F) \)\( 70(235/F) \)\( 100(235/F) \)左記以外
はりH 形断面フランジ\( 9\sqrt{235/F} \)\( 11\sqrt{235/F} \)\( 15.5\sqrt{235/F} \)左記以外
はりH 形断面ウェブ\( 60\sqrt{235/F} \)\( 65\sqrt{235/F} \)\( 71\sqrt{235/F} \)左記以外

備考

  1. この表の規定は、基準強度が 205 N/mm² 以上で 375 N/mm² 以下である鋼材に限る。
  2. 基準強度が 235 N/mm² 及び 325 N/mm² 以外の炭素鋼にあっては、H 形断面及び角形断面では \( \sqrt{235/F} \) を、円形断面では \( 235/F \) を、400N 級鋼の幅厚比に乗じた値とする。

H 形断面はフランジ・ウェブの両方を判定し、不利な方(FD 寄り) を部材の種別として採用します。 角形鋼管・円形鋼管は同表に「はり」の行がないため、柱の行を準用します。

幅厚比表に行のない形状(溝形・T形・山形等)は、規範的根拠のない仮のしきい値で 自動判定することを避けるため自動判定の対象外とし、当該部材はランク未判定として 層の選択ランク(手動設定値)にフォールバックします。

角形鋼管の鋼種別限界値

冷間成形角形鋼管(BCR・BCP)及び一般構造用角形鋼管(STKR)は、鋼種ごとの限界値を用います。

鋼種FAFBFCFD
STKR400 / BCP235333748左記以外
STKR490 / BCP325273241左記以外
BCR295303443左記以外

筋かいの種別

有効細長比 \( \lambda \)筋かいの種別
(一)\( \lambda \le 495/\sqrt{F} \)BA
(二)\( 495/\sqrt{F} < \lambda \le 890/\sqrt{F} \) 又は \( 1980/\sqrt{F} \le \lambda \)BB
(三)\( 890/\sqrt{F} < \lambda < 1980/\sqrt{F} \)BC

7.3.2 SRC 部材の種別

SRC 柱の種別

鉄骨鉄筋コンクリート造の柱は、軸力比 \( N/N_0 \)・鉄骨曲げ耐力比 \( {}_sM_0/M_0 \) と破壊モードで種別を定めます(技術基準解説書 表 2.6.6-5)。

破壊モード\( N/N_0 \le 0.3 \) かつ \( {}_sM_0/M_0 \ge 0.4 \)\( N/N_0 \le 0.3 \) かつ \( {}_sM_0/M_0 < 0.4 \)\( 0.3 < N/N_0 \le 0.4 \) かつ \( {}_sM_0/M_0 \ge 0.4 \)\( 0.3 < N/N_0 \le 0.4 \) かつ \( {}_sM_0/M_0 < 0.4 \)\( N/N_0 > 0.4 \)
曲げ破壊FAFBFBFCFD
せん断破壊FBFCFCFDFD
  • \( N \): メカニズム時(プッシュオーバー終局時)に柱に生じる軸方向力(圧縮を正とし、引張の場合は 0 として扱う)
  • \( N_0 \): SRC 断面の圧縮耐力
  • \( {}_sM_0 \): 内蔵鉄骨の曲げ耐力
  • \( M_0 \): 軸力 0 とした SRC 断面の曲げ耐力
  • 破壊モード: 増分解析でせん断降伏イベントが記録された部材をせん断破壊、それ以外を曲げ破壊とする

耐力は SRC 規準の累加強度の考え方に基づく略算で評価します。

  • \( N_0 = {}_cA_c \cdot F_c + {}_sA \cdot {}_sF + a_r \cdot \sigma_y \)(コンクリートは鉄骨・主筋を控除した正味断面積 \( {}_cA_c \)、\( a_r \) は主筋全断面積)
  • \( {}_sM_0 = {}_sZ_p \cdot {}_sF \)(内蔵 H 形鋼の強軸全塑性断面係数 \( {}_sZ_p = B \cdot t_f (H - t_f) + t_w (H - 2t_f)^2 / 4 \))
  • \( M_0 = {}_sM_0 + {}_rM_0 \)(\( {}_rM_0 = 0.9 , a_t , \sigma_y , d_e \)。\( a_t \) は片側引張主筋量(せい方向主筋の 1/2)、\( d_e = D - d_t \) は有効せい)

引張縁から主筋群重心までの距離 \( d_t \) は、1 段配筋では \( \text{かぶり} + \text{せん断補強筋径} + \text{主筋径}/2 \) です。多段配筋(2 段以上)では段間のあき(主筋径の 1.5 倍と 25 mm の大きい方)を考慮した多段重心位置とし、RC 断面検定の引張有効せいと同じ規則によります。

既定値:内蔵鉄骨の基準強度 \( {}_sF \) は断面の内蔵鉄骨材料の名称から板厚区分(フランジ厚)込みで解決し、解決できない場合は 235 N/mm²(400N 級鋼相当)とします。主筋の降伏強度 \( \sigma_y \) は断面の主筋材料の \( f_y \) から解決します。主筋降伏強度またはコンクリート設計基準強度 \( F_c \) が未設定の柱は判定対象外(層の選択ランクへフォールバック)です。判定対象は SRC 矩形断面の柱で、SRC 梁は表に規定がないため判定対象外(同フォールバック)とします。

SRC 耐震壁の種別

側柱(壁と両端の節点を共有する鉛直部材)に SRC 造の柱がある耐震壁は、\( \tau_u/F_c \) の表によらず破壊モードで種別を定めます。

破壊モード種別
せん断破壊WC
それ以外WA

増分解析の壁要素は面内せん断を終局せん断強度 \( Q_u \) で頭打ちにする弾完全塑性のため、破壊モードは終局時(崩壊機構形成時)の負担水平力が \( Q_u \) に達したかどうかで判定します(達した場合をせん断破壊とします)。\( Q_u \) を算定できない壁と、終局時応答が得られない壁は判定対象外(層の選択ランクへフォールバック)です。

実装secondary::src_rank が SRC 柱の種別・判定比・SRC 耐震壁の種別を算定します。

7.3.3 部材群としての種別

層の Ds は個々の部材ではなく、部材群としての種別(A・B・C)で定めます。

部材の耐力の場合部材群としての種別
(一)\( \gamma_A \ge 0.5 \) かつ \( \gamma_C \le 0.2 \)A
(二)\( \gamma_C < 0.5 \)(部材群としての種別が A の場合を除く)B
(三)\( \gamma_C \ge 0.5 \)C
  • \( \gamma_A \): 筋かいの部材群の種別を定める場合は、種別 BA である筋かいの耐力の和をすべての筋かいの水平耐力の和で除した数値。柱及びはりの部材群の種別を定める場合は、種別 FA である柱の耐力の和を種別 FD である柱を除くすべての柱の水平耐力の和で除した数値。
  • \( \gamma_C \): 同様に、種別 BC である筋かい/種別 FC である柱について求めた数値。

7.3.4 各階の構造特性係数 Ds(RC 造)

\( \beta_u \) は耐力壁の水平耐力の和を保有水平耐力の数値で除した数値です。

耐力壁の部材群としての種別条件柱及びはりの部材群としての種別 ABCD
A\( 0 < \beta_u \le 0.3 \)0.30.350.40.45
A\( 0.3 < \beta_u \le 0.7 \)0.350.40.450.5
A\( \beta_u > 0.7 \)0.40.450.450.55
B\( 0 < \beta_u \le 0.3 \)0.350.350.40.45
B\( 0.3 < \beta_u \le 0.7 \)0.40.40.450.5
B\( \beta_u > 0.7 \)0.450.450.50.55
C\( 0 < \beta_u \le 0.3 \)0.350.350.40.45
C\( 0.3 < \beta_u \le 0.7 \)0.40.450.450.5
C\( \beta_u > 0.7 \)0.50.50.50.55
D\( 0 < \beta_u \le 0.3 \)0.40.40.450.45
D\( 0.3 < \beta_u \le 0.7 \)0.450.50.50.5
D\( \beta_u > 0.7 \)0.550.550.550.55

耐力壁がない(\( \beta_u = 0 \))純ラーメンの場合は 0.3 / 0.35 / 0.4 / 0.45 とします。

7.3.5 各階の構造特性係数 Ds(S 造)

\( \beta_u \) は筋かい(耐力壁を含む)の水平耐力の和を保有水平耐力で除した数値です。

筋かいの部材群としての種別条件柱及びはりの部材群としての種別 ABCD
A 又は \( \beta_u = 0 \)0.250.30.350.4
B\( 0 < \beta_u \le 0.3 \)0.250.30.350.4
B\( 0.3 < \beta_u \le 0.7 \)0.30.30.350.45
B\( \beta_u > 0.7 \)0.350.350.40.5
C\( 0 < \beta_u \le 0.3 \)0.30.30.350.4
C\( 0.3 < \beta_u \le 0.5 \)0.350.350.40.45
C\( \beta_u > 0.5 \)0.40.40.450.5

実装width_thickness::{max_width_thickness, s_member_rank_by_kihon} が幅厚比と種別を算定します。

本プログラムでの部材群種別・βu の算定

  • 各部材の「耐力」にはプッシュオーバー終局時に当該部材が負担する加力方向の水平力を用いることで、部材群としての種別を 7.3.3 の耐力比 \( \gamma_A, \gamma_C \) から判定します。
  • 告示の「部材群としての種別」表は A〜C のみを定義し D の判定条件を与えていないため、種別 D(FD/WD)の部材を含む層は部材群としての種別を D とします。
  • \( \beta_u \) は、当該層の耐力壁・筋かい要素が終局時に負担する水平力の和を、その層の保有水平耐力 \( Q_u \) で除して算定します。耐力壁・筋かいがない層は \( \beta_u = 0 \)(純ラーメン)となります。
  • 終局時の部材水平力が得られず耐力比を判定できない層は、当該層のもっとも不利な部材種別を部材群種別へ読み替えます。
  • 部材ランクの自動判定で、ある層のランクを 1 本も算定できない場合(幅厚比表の対象外形状・断面形状未設定・\( F_c \) 未設定など)、その層には設計タブで選択したランク(既定 FA)を適用し、該当層を設計タブに警告として表示します。選択ランクが実状より甘い場合に Ds を過小評価するためです。
  • 崩壊機構が層崩壊形と判定された層は、告示の Ds 表が全体崩壊形の形成を前提とすることを踏まえ、柱及びはりの部材群としての種別を 1 段階不利側へ移します。