4.10 梁要素内部の変位・断面力の内挿
節点の解(変位)から、梁要素の**両端の間(要素内部)**の変位と断面力(内力)をどう評価するかを示します。 変位は Hermite 3 次多項式による内挿、断面力は断面の力の釣合い(切断法)と部材中間荷重の固定端内力の重ね合わせで求めます。
4.10.1 要素内部の変位(Hermite 3 次内挿)
節点変位は要素端の 6 自由度(並進・回転)として得られます。要素内部の変位場は、要素ローカル系(\( e_x \): i→j 材軸、\( e_y,,e_z \): 断面主軸)で次のように内挿します。
- 軸方向(局所 \( x \)):線形形状関数 \( (1-\xi,\ \xi) \)
- 曲げ 2 面(局所 \( y,,z \)):Hermite 3 次形状関数
曲げ面の内挿は、部材荷重の等価節点力(4.3)に用いる形状関数と同一であり、要素の定式化と整合します。
Hermite 3 次形状関数(\( \xi = s/L \)、i 端 \( \xi=0 \)・j 端 \( \xi=1 \)、\( L \) は節点間長):
\[ N_1 = 1 - 3\xi^2 + 2\xi^3,\qquad N_2 = L,(\xi - 2\xi^2 + \xi^3) \]
\[ N_3 = 3\xi^2 - 2\xi^3,\qquad N_4 = L,(-\xi^2 + \xi^3) \]
要素内部の局所変位場(端部並進 \( u \)・回転 \( r \) から):
\[ u_x(\xi) = (1-\xi),u_{x,i} + \xi,u_{x,j} \]
\[ u_y(\xi) = N_1,u_{y,i} + N_2,r_{z,i} + N_3,u_{y,j} + N_4,r_{z,j} \]
\[ u_z(\xi) = N_1,u_{z,i} - N_2,r_{y,i} + N_3,u_{z,j} - N_4,r_{y,j} \]
局所 \( z \) 面では回転 \( r_y \) の向きの規約により回転項の符号が反転します(4.1.2 の \( K_{xz} \) の符号規約、および 4.3 の等価節点力と一致)。
\( \xi=0,,1 \) では \( N_2=N_4=0,\ N_1=1 \) または \( N_3=1 \) となり、要素端は節点変位に厳密に一致します。回転自由度が変位場の傾きを与えるため、両端の回転差に応じて要素内部が曲線状にたわみます。
**変形図(変形形状の可視化)**は、この Hermite 曲線に沿って要素を描きます。節点間を直線で結ぶと梁の曲げたわみが表れないため、要素内部を Hermite 3 次で内挿した折れ線として表示します。要素はせん断変形を含むティモシェンコ梁(4.1)ですが、内部変位の内挿は Euler–Bernoulli の Hermite 曲線で近似します。
4.10.2 要素内部の断面力(平衡+固定端内力の重ね合わせ)
要素内部の断面力分布は、形状関数による内挿ではなく、**断面の力の釣合い(切断法)**で求めます。
- 端部節点力:局所剛性と局所変位から \( \boldsymbol{f} = K_{\text{local}},\boldsymbol{u} \) を求めます。
- 任意断面への分布:端部の内力から自由体の釣合いで各断面 \( \xi \) の \( [N, Q_y, Q_z, M_x, M_y, M_z] \) を求めます。せん断が一定の区間ではモーメントは材軸方向に線形になります(例:\( M_z(x) = M_{z,i} + Q_y,x \))。
- 部材中間荷重の重ね合わせ:部材にスパン荷重(分布・集中)がある場合は、両端固定梁の固定端内力(4.3 の
fixed_internal_local)を各断面に重ね合わせます。これにより、剛性応答(等価節点力に対する \( K\boldsymbol{u} \))とスパン内力の和として実内力が得られます。
\[ \text{実内力}(\xi) = \underbrace{\text{(}K\boldsymbol{u}\text{ 由来の内力)}}{\text{端部からの平衡分布}} + \underbrace{\text{(両端固定梁のスパン内力)}}{\text{固定端内力の重ね合わせ}} \]
この重ね合わせにより、等分布荷重を受ける梁では曲げモーメント \( M \) が放物線、せん断力 \( Q \) が線形の正しい分布になります(中間荷重がなければ手順 2 のとおりモーメントは線形)。荷重組合せでは、各項の部材荷重を組合せ係数で倍したうえで重ね合わせます。
断面力の符号規約は 5.2 を参照してください。断面力を評価する位置(危険断面)は、節点芯・柱フェース位置・部材中央に加え、指定があればハンチ端・継手位置を含みます。評価断面の間の分布を画面上でどう描くかは応力図(M 図)の曲線補間を参照してください。
実装:要素内部変位の内挿は変形図描画(viewer)、断面力の分布は beam/forces.rs::recover_forces と member_load::fixed_internal_local(重ね合わせ)が担います。