検定比の表示
表示モード「検定比」では、部材検定・節点検定の結果に基づいて部材・節点を 着色します。検定結果は式別の内訳(曲げ・せん断・付着・軸+曲げ・軸・たわみ) を持つため、着色対象を切り替える「検定式フィルタ」と、部材内の各検定位置 を個別に確認できる「位置別マーカー」を備えます。
実装参照:表示モード「検定比」の描画は sepika_app::viewer::check_ratio::draw_check_ratio(crates/sepika-app/src/viewer/check_ratio.rs)が担い、着色対象の指定は sepika_app::viewer::CheckRatioFilter(crates/sepika-app/src/viewer/mod.rs)が表します。
保存成果が利用不可の場合
計算契約版が欠落・旧版・未来版の保存検定は、現在の検定比・合否として表示しません。 解析版も非一致の場合は応力も利用できません。検定画面と CSV 帳票に利用不可の理由と再実行の案内を示します。 検定版だけの非一致なら、対象を選んで検定画面の「検定を再実行」を押すと、保持された現行応力で回復できます。 表示結果の切替や保存では旧検定を復活させません。 版が一致していても、検定の生成入力が欠落・不一致なら、表・部材Inspector・検定比図の着色/ラベル/ホバー詳細と CSV に旧検定の比率・合否を出しません。 検定が採用した計算モデル、ケース/組合せの応力生成入力、荷重期間と RC 設計条件を照合します。 材料・荷重・断面や設計条件を変更してから時刻歴・増分・固有値・質点系だけを実行しても、再計算していない検定は利用不可のままです。 同じ入力の別解析、カメラ・通り芯・表示ステップ・時刻歴記録間隔や振動ケース一覧の変更は、保持検定を認定し直す必要がありません。 Undo で生成入力へ厳密に戻れば保持結果を再利用でき、Redo で不一致になれば再び利用不可になります。 選択したケース/組合せの生成入力が不一致または入力識別が欠落している場合は直接検定も拒否します。 架構応力を使わない新しい床板・小梁の直接検定は、静的解析がなくても実行できます。 荷重用途の不適合(短期単独ケースなど)は、入力が一致していても従来どおり未検定です。 詳しい回復手順は OVIKA の保存結果 を参照してください。
検定式フィルタ
主操作行の下にある「検定式:」で着色対象を選びます。
- 最大(既定): その位置の全検定式のうち最大の検定比を対象にする。
- 式別(曲げ/せん断/付着/軸+曲げ/軸/たわみ): 選んだ式の検定比の みを対象にする。当該式を持たない検定位置は「フィルタ対象外」として 扱われ、着色・マーカーとも描かれない。
選択肢には、現在の解析結果(部材検定・節点検定の両方)に実際に現れる式 のみが表示されます。たとえば鋼構造ブレースのみのモデルでは「軸」「軸+曲げ」 系の式しか現れないため、「たわみ」等の無関係な選択肢は出ません。
実装参照:フィルタ適用(式別の抽出・対象外の除外)は sepika_app::viewer::check_ratio::ratio_for_filter が、選択肢を結果に現れる式へ絞る処理は同 available_check_kinds(crates/sepika-app/src/viewer/check_ratio.rs)が行います。
部材・節点の着色
- 部材の色は、フィルタ適用後の値でその部材の全検定位置(材端・材中間
などの複数箇所)における最大検定比により決まる。色は検定比に応じた
連続グラデーション(コンター)で、判定基準 0.8/1.0 を境に色相が
切り替わる:
- 検定比 0 〜 0.8: 淡緑 → 緑(良好域。余裕が小さいほど濃い緑)
- 検定比 0.8 〜 1.0: 黄 → アンバー(注意域。1.0 に近いほど濃い)
- 検定比 > 1.0: 赤(NG。超過。単色)
- 良好域・注意域の中では色の濃淡そのものが検定比の大小を表すため、数値 ラベルがない部材でも余裕度の分布を色で読み取れる。判定境界(0.8/1.0) では色相が不連続に変わるため、基準をまたいだかどうかも一目で分かる。
- 壁(面要素)は同じ配色の半透明ポリゴンで塗り、輪郭も検定比の色で描く。
- 柱梁接合部・耐震壁などの節点単位の検定は、部材の線とは 別に、対象節点上の色付きひし形(背景色の輪郭付き)で表示する。色は同じ 配色に従い、NG のマーカーは一回り大きく描く。支点記号などが重なる節点でも 見分けられるよう、部材とは別の形にしている。
- 節点検定のマーカーは、NG の場合と「全ラベル表示」が ON の場合に検定比を 数値で添える。マーカーへポインタを重ねると、その節点の検定種別・検定比・ 判定・根拠を一覧するツールチップを表示する。
- 検定表(「結果」タブ)のセルは、文字と背景の対比を保つため 3 段階 (緑/黄/赤)で着色する。判定レベルの粒度では 3D ビューと表の色は 一致する。
- フィルタで選んだ式の検定比が存在しない部材・節点(式別フィルタで対象 外の場合を含む)は、検定を実施していない部材・節点と同様にグレーの まま(着色されない)。
- Fc 未設定・配筋情報なし・断面形状不一致など入力不足で検定を実施 できなかった位置(検定不能) も同様に無着色(未検定と区別しない)。 ある部材の全検定位置が検定不能の場合、その部材はグレーのまま表示 される。
実装参照:部材・節点の着色と NG マーカーの拡大は sepika_app::viewer::check_ratio::draw_check_ratio(crates/sepika-app/src/viewer/check_ratio.rs)が、連続グラデーションの配色は sepika_app::theme::check_ratio_color(crates/sepika-app/src/theme.rs)が定めます。
部材中点のラベル
部材中点には検定比の数値をラベル表示します。ただし全部材に数値を出すと 3D ビュー上で文字が重なって読めなくなるため、既定では検定比 0.8 以上 (注意域以上)の部材のみにラベルを描きます。0.8 未満の部材は色の濃淡 (上記のグラデーション)だけで余裕度を示します。主操作行の下にある「全部材に 数値ラベル」を ON にすると、検定比によらず全部材にラベルを表示します。
フィルタ=最大のときは、その部材の最大検定比を与えた位置の支配式 (最大の内訳を持つ検定式)を「1.13 せん断」のように数値へ併記します。 フィルタ=式別のとき、および検定不能の位置しかない場合は数値のみを表示 します。NG 部材(検定比 > 1.0)は赤字・大きめのフォントで、かつ線の 太さも太くして強調します。
実装参照:ラベル表示条件(既定は検定比 0.8 以上)は sepika_app::viewer::check_ratio::should_label(crates/sepika-app/src/viewer/check_ratio.rs)が定め、条件を満たす部材への描画(支配式の併記を含む)は同 draw_check_ratio が行います。
位置別マーカー
「位置別マーカー」トグル(既定 ON)で、部材の各検定位置(柱フェイス i端・中央・柱フェイスj端、ハンチ端・継手位置、指定位置など)に一辺 7 px の正方形マーカーを表示します。マーカーの色はその位置のフィルタ適用後の 検定比による(部材線と同じグラデーション配色)で、フィルタ対象外の位置 (検定不能の位置を含む)にはマーカーを描きません。NG の位置(フィルタ適用後の検定比 > 1.0)にはマーカーの右上に小さく数値を添えます(全位置に数値を出すと 過密になるため NG のみ)。マーカー表示中も部材中点のラベル(部材内 最大)は変わらず表示されます。
実装参照:位置別マーカー(一辺 7 px の正方形、NG は数値付き)の描画は sepika_app::viewer::check_ratio::draw_check_ratio(crates/sepika-app/src/viewer/check_ratio.rs)が行い、ON/OFF は sepika_app::viewer::controls::view_controls(crates/sepika-app/src/viewer/controls.rs)のトグルです。
ホバーによる詳細表示
部材の近く(クリック選択と同じ 8 px の許容距離)へポインタを重ねると、
その部材の検定位置×検定式の内訳を表にしたツールチップを表示します。
1 行目に部材番号と根拠(最初の検定位置の basis。検定不能の位置のみの
場合は理由)、続く表は行に検定位置(xi の数値)、列にその部材で実際
に使われている検定式(+判定列)を持ちます。各セルはその式の検定比
({:.2} 表示。該当式がない位置・検定不能の位置は「-」)で、1.0 超は
赤、0.8 超は黄で着色します。判定列は部材のその位置の判定(OK/NG)を
表示し、検定不能の位置は灰色で「検定不能(理由)」と表示します。
実装参照:位置×式の表データの組み立ては sepika_app::viewer::check_ratio::build_tooltip_rows が、ポインタ位置へのツールチップ表示は同 show_check_tooltip(crates/sepika-app/src/viewer/check_ratio.rs)が行います。
凡例
ビュー左上に次を表示します。
- 現在のフィルタ対象・検定比の最大値・NG 件数の集計(いずれもフィルタ 適用後の値。検定不能は含みません)
- 色の凡例: 検定比 0〜1.0 のグラデーションを示すカラーバー(目盛りは 0/0.8/1.0)と、その右に NG(> 1.0)の赤の色見本、未検定・検定不能が グレーである旨の注記
- 数値ラベルの表示条件(「検定比 0.8 以上のみ」または「全部材」)と、 位置別マーカーの説明(マーカー ON 時のみ)
- 検定の生成入力が欠落・不一致の場合の利用不可理由と再実行案内
解析結果がない場合は、検定比図の代わりに解析の実行を促す案内のみを 表示します。
実装参照:ビュー左上の凡例(対象・max・NG 件数・カラーバー・陳腐化注記)は sepika_app::viewer::check_ratio::draw_legend が描き、検定結果がない場合の案内は同 draw_no_result_legend(crates/sepika-app/src/viewer/check_ratio.rs)が出します。
検定不能の表示
Fc 未設定・配筋情報なし・断面形状不一致など、入力不足により検定式を 適用できない検定位置は「検定不能」として扱い、検定比 0・OK 相当の 偽の安全側結果としては扱いません。
- 3D ビュー(検定比図): 未検定と同様に無着色。位置別マーカーは描かず、 ホバー詳細ツールチップの該当行には「検定不能(理由)」を表示する。
- 検定表(「結果」タブ): 検定比セルに「-」、判定セルに灰色で 「検定不能」、根拠セルに理由(例:「RC 検定: Fc 未設定」)を表示する。 NG 件数の集計には含めない。
実装参照:検定不能をフィルタ対象外として無着色・マーカーなしにする判定は sepika_app::viewer::check_ratio::ratio_for_filter(crates/sepika-app/src/viewer/check_ratio.rs)が、検定表での「-」「検定不能」・理由の表示は sepika_app::design_view::design_table(crates/sepika-app/src/design_view.rs)が行います。
検定表の内訳列
「結果」タブの部材検定表には「内訳」列があり、検定式ごとの検定比を 「曲げ 0.82/せん断 1.13/付着 0.44」のように横並びで表示します(検定 不能の行は「-」)。3D ビューの検定比図と同じ配色規約で各式の値を 着色するため、表と 3D ビューで一貫して式別の状態を確認できます。節点単位の 検定表(接合部・耐震壁など)はほぼ単一式のため内訳列を持ちません。
内訳セルの各式のラベル(「曲げ 0.82」等)にポインタを重ねると、その式 固有の数値根拠(許容値・作用値・中間係数など)をツールチップで表示します。 根拠セル(basis の文字列)にも、全検定式に共通の数値根拠(断面諸元など) があればホバーで表示します(共通の根拠がない場合は表示しません)。節点単位の 検定表(接合部・耐震壁など)も同様に、根拠セルへ検定式(単一式)の数値 根拠をホバー表示します。
実装参照:検定表の「内訳」列と各式・根拠のホバー表示は sepika_app::design_view::design_table(crates/sepika-app/src/design_view.rs)が描きます。
壁版ごとの検定状態
耐震壁の結果は、壁版番号・生成要素番号・表示中の荷重ケースまたは組合せ・検定種別を併記します。同じ節点を共有する複数壁も別の壁版として表示します。接合部の節点検定とは別の一覧です。
| 壁の入力・状態 | 表示 | 理由区分 | 検定比 |
|---|---|---|---|
| RC壁で許容せん断の必要入力・応答を取得済み | OK/NG | — | 既存RC検定式の値 |
| 主材・Fc・配筋材料・断面等の必要入力がない | 未検定 | 入力不足 | — |
| Fc・板厚・幾何・材料区分・応答値等が不正 | 未検定 | 不正入力 | — |
| RC壁の応答が未取得または空 | 未検定 | 応答未取得 | — |
| RC以外の未対応形状等、当該検定式の適用外 | 未検定 | 適用外 | — |
| 純鋼板壁/SRC内蔵鋼板壁 | 未検定 | 未実装 | — |
| 自重・雑壁のみの壁版(取付き壁版、スリット等で耐震壁として成立しない壁を含む) | 対象外 | 適用外 | — |
| 壁領域・断面が不足し壁要素を生成できない耐震壁候補 | 未検定 | 入力不足 | — |
板厚・壁長・高さの入力単位は mm、Fc は N/mm²、応答の力は N、モーメントは N·mmです。許容せん断とせん断参考骨格は別の検定種別です。参考骨格は成功・未算定とも建物共通の採用方式(荒川min/荒川mean)を示します。参考骨格には横筋比・材料強度・側柱断面などの追加条件が必要なため、許容せん断がOKでも参考骨格は未検定の場合があります。参考骨格の比率を壁板・接合の国内終局検定の合格へ読み替えません。
純鋼板の国内許容応力度・終局検定式は未確定です。無補剛の平鋼板も現時点では未検定とし、補剛板・波形板・座屈拘束板・SRC内蔵鋼板へ純鋼板の同じ式を適用しません。SRCの式を純鋼板へ流用しません。解析収束、ストリップ降伏、境界柱梁の検定済み状態、海外規準との比較値は、壁板・接合の国内適合確認にはなりません。
集計は「壁枚数」と「検定件数」を分け、許容せん断・参考骨格ごとに合格/NG/未検定/対象外を表示します。許容せん断がRC合格1件・純鋼板未検定1件なら合格1・未検定1、材料欠落の壁を追加すれば未検定2です。対象外は未検定耐震壁の件数へ含めません。最大検定比は実際に検定した比率の集合から求め、空集合は「—」です。未検定を0や合格へ置き換えません。
壁に設定されたスリットによる対象外判定は、断面を未割当にした場合や板厚が不正な場合も維持します。不正な板厚は理由付き未検定として残し、耐震壁の未検定件数へは加算しません。検定比図の見出しは、選択した検定式フィルタに該当する壁の比率とNG件数を部材・接合部と合わせて示します。フィルタに該当しない壁検定は、その見出しの最大値・NG件数へ含めません。
3Dの検定比図には壁ごとの番号・種別・検定比または未検定/対象外を表示し、壁の代表節点のホバー詳細に全壁版の理由を示します。CSVの耐震壁検定・種別集計にも同じ状態と理由を出します。生成入力が不一致の旧検定は、利用不可の案内を出し、比率・合否の集計へ含めません。MCPでは未検定の検定比を出さず、最大値なしは null とします。OVIKAに同梱した結果も同じキーと状態を保持し、解析・再計算時は新しい応答に基づく結果へ更新します。
実装参照:sepika_design_jp::wall_check::{WallCheck, WallCheckSummary}(crates/sepika-design-jp/src/wall_check.rs)と sepika_design_jp::joint_wiring::collect_wall_design_checks(crates/sepika-design-jp/src/joint_wiring/mod.rs)が壁ごとの状態・集計を保持します。