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地震力

地震力は現在の入力から確定した階重量を使います。材料密度・床仕上げ・地震用積載などを編集した後も、 解析実行前に重量と EX・EY を一括更新します。重量や周期が古い場合は旧値と新係数を混成せず、 旧自動水平力を両方向とも使用不可にして原因を示します。通常の手入力荷重は保持します。 算定と構造解析の準備は独立し、Ai・Ci・Qi・Pi の算定に剛性行列の組立は不要です。

地震層せん断力係数 Ci と層せん断力 Qi

地震層せん断力係数 Ci と層せん断力 Qi は、建築基準法施行令 88 条に基づいて算定します。

\[ C_i = Z \cdot R_t \cdot A_i \cdot C_0 \]

\[ Q_i = C_i \cdot W_i \]

ここで Wi は当該層が支える部分の固定荷重と地震用積載荷重に、多雪区域では必要な積雪荷重を加えた地震用重量、すなわち当該層以上の累積重量を表します。

記号・単位

記号意味単位
\( C_i \)i 層の地震層せん断力係数-
\( Q_i \)i 層の地震層せん断力N
\( W_i \)i 層以上の累積地震用重量(固定+地震用積載、多雪区域では必要な積雪を含む)N
\( W_{\text{total}} \)地上部分の地震用重量N
\( Z \)地域係数-
\( R_t \)振動特性係数-
\( T \)建物の一次固有周期s
\( T_c \)地盤種別ごとの卓越周期s
\( A_i \)i 層の高さ方向分布係数-
\( C_0 \)標準せん断力係数-
\( \alpha_i \)i 層以上の累積重量比-
\( P_i \)i 層に作用する水平外力N
\( h \)建物高さ(略算周期用)m
\( \alpha \)鉄骨造部分の高さ比-
\( k \)塔屋(PH)階の指定震度-
\( K_i \)地下階の水平震度-
\( H_i \)地盤面からの深さm

算定式

当該層以上の累積重量比:

\[ \alpha_i = W_i / W_{\text{total}} \]

\[ A_i = 1 + \left( \frac{1}{\sqrt{\alpha_i}} - \alpha_i \right) \cdot \frac{2T}{1 + 3T} \]

\[ C_i = Z \cdot R_t \cdot A_i \cdot C_0 \]

\[ Q_i = C_i \cdot \alpha_i \cdot W_{\text{total}} = C_i \cdot W_i \]

各層水平外力(最上層は \( P_i = Q_i \)):

\[ P_i = Q_i - Q_{i+1} \]

実装参照:sepika_load::ai::ai_distribution(crates/sepika-load/src/ai.rs)が標準式を計算し、sepika_solver::statics::analysis::seismic_distribution_for_model(crates/sepika-solver/src/statics/analysis/seismic.rs)が入力と適用可否を検証します。

Pi の載荷先:各層の水平外力 \( P_i \) は、その階の剛床(ダイアフラム)の代表節点へ載せます。 載荷先は階の剛床の数で決まります。

階の剛床\( P_i \) の載荷先
1 つその剛床の代表節点へ全量
複数(段差床など)剛床ごとの地震用重量の比で按分。重量が未算定の剛床は 0 とし、合計が 0 なら等分割
なし階に属する節点へ質点質量の比で分配。質量が未設定または合計 0 なら等分割

剛床のない階でも層せん断力の総量 \( P_i \) は保たれます(階と剛床は別のものであり、 剛床を持たない階にも法規上の層としての水平力が生じるため)。ただし載荷位置は床面の 代表点ではなく個々の節点になります。

副剛床の層せん断力係数 \( C_i \) を直接入力した剛床は、主系統の Ai 分布から除外し、 その剛床の重量に \( C_i \) を乗じた水平力を等価震度として別途作用させます。主系統の 地震用重量は、階の地震用重量から副剛床の重量を控除した値とします。副剛床重量が階重量を超える入力はエラーです。

振動特性係数 Rt

振動特性係数 Rt は、昭和 55 年建設省告示第 1793 号 第 2 に基づき、地盤種別ごとの卓越周期 Tc によって 3 つに場合分けして算定します。

算定式

\[ R_t = \begin{cases} 1.0 & (T < T_c) \\ 1 - 0.2 (T/T_c - 1)^2 & (T_c \le T < 2T_c) \\ 1.6 T_c/T & (2T_c \le T) \end{cases} \]

実装参照:sepika_load::ai::rt(t, tc)(crates/sepika-load/src/ai.rs)が算定します。

地盤種別と卓越周期 Tc

卓越周期 Tc は、昭和 55 年建設省告示第 1793 号 第 2 に基づき、第 1 種、第 2 種、第 3 種の地盤種別ごとに定めます。

算定式:第 1 種 \( T_c = 0.4\ \text{s} \)、第 2 種 0.6 s、第 3 種 0.8 s。

実装参照:sepika_load::ai::tc_of(soil)(crates/sepika-load/src/ai.rs)が算定し、地盤種別は SoilClass { I, II, III } で表します。

高さ方向分布係数 Ai

高さ方向分布係数 Ai は、昭和 55 年建設省告示第 1793 号 第 3 に基づいて算定します。 αi の分子・分母には上記の同じ地震用重量を用い、地下重量は含めません。

算定式

\[ A_i = 1 + \left( \frac{1}{\sqrt{\alpha_i}} - \alpha_i \right) \cdot \frac{2T}{1+3T} \]

SEPIKA の地震係数入口は確定した階の地震用重量を使用します。多雪区域の地震時荷重組合せでは積雪低減係数 δ3(既定0.35)を扱いますが、階重量の自動生成は固定荷重と地震用積載荷重から行い、Snow ケースの必要積雪分を自動加算しません。多雪区域では必要な積雪分を含む地震用重量を別途確認・設定してください。荷重組合せの積雪対応だけで Ai の重量も確認済みとはしません。

実装参照:sepika_load::ai::ai_distribution(crates/sepika-load/src/ai.rs)が算定します。

重量比 αi が 0 の層:当該層以上の地震用重量がない場合、標準式の Ai は定義できません。準備表と標準 EX/EY 荷重の生成は理由付きエラーとし、Ai=0 の適合結果として表示しません。全層重量 0・未設定・負値・非有限値も算定できません。

地域係数 Z

地域係数 Z は、昭和 55 年建設省告示第 1793 号 第 1 の表 の地方区分ごとの Z 値に基づいて与えるもので、取り得る値は 1.0、0.9、0.8、0.7 です。

算定式:地方区分ごとに定まる定数であり、式ではなく告示第1の表からの読み取りによります。

入力:右パネル「① 準備計算」の「地震力の条件」で、建設地の Z を直接入力します(既定 1.0)。Z は有限の正数かを検証しますが、数値入力だけで地域適合を確認済みにはしません。敷地に適用する地方区分と根拠資料は設計者が確認してください。全自治体の現行区域マスターと地域自動判定は未対応です。

実装参照:右パネル「① 準備計算」の入力は sepika_app::app::panels::preparation(crates/sepika-app/src/app/panels/preparation.rs)が受け付け、値は sepika_job::AnalysisSettings::z(crates/sepika-job/src/settings.rs、既定 1.0)が保持して地震力の算定へ渡ります。

標準せん断力係数 C0

標準せん断力係数 C0 は令88条2項により通常 \(C_0\ge0.2\)、同3項の必要保有水平耐力用地震力では \(C_0\ge1.0\) が下限です。SEPIKA の二次設計は1.0を採用します。 Qud は選択した略算周期を用いて地上部・地下部の標準式で算定し、参考固有値の存在で周期を変更しません。指定 Ci の副剛床の必要耐力用適用は未検証のため Qud 入口では未対応です。通常入口では有限値かつ0.2以上を要求します。著しく軟弱な指定区域の一定の木造建築物に対する0.3下限は、木造を扱わない本機能の対象外です。指定区域は第3種地盤という土質条件だけでは確定せず、特定行政庁の指定を別途確認します。

実装参照:C0 は sepika_solver::statics::analysis::SeismicCfg::c0(crates/sepika-solver/src/statics/analysis/config.rs、既定 0.2)に保持され、層せん断力の算定 sepika_load::ai::ai_distribution(crates/sepika-load/src/ai.rs)には引数として、荷重ケース構築 sepika_solver::statics::analysis::Analysis::build_seismic_load_case(crates/sepika-solver/src/statics/analysis/seismic.rs)には SeismicCfg の一部として与えられます。

一次固有周期の略算 T

一次固有周期 T は、令 88 条および昭和 55 年建設省告示第 1793 号に基づき \( T = h(0.02 + 0.01\alpha) \) で略算します。 告示第2の α は柱・はりの大部分が木造又は鉄骨造である階(地階を除く)の高さ比です。SEPIKA は木造を扱わず、S造一般層のうち、GL から最上一般床までに含まれる高さの合計を建物高さ h で除します。一般層の下端床が GL より下にある場合、その地下部分の高さは分子に含めません。h は GL から PH を除く最上一般階までとする現在の対応範囲であり、塔屋の高さ算入等の特殊条件の自動適用判断は行いません。RC 造 0.02、S 造 0.03 に相当します。

算定式

\[ T = h \cdot (0.02 + 0.01 \cdot \alpha) \]

鉄骨造比(0〜1 にクランプ):

\[ \alpha = \frac{\sum(\text{一般S層のGL以上の高さ})}{h} \]

階が S 造かどうかは、その階に属する柱・梁の構造種別を集計して決めます (構造種別の判定・ 準備計算「階の分布」を参照)。

実装参照:sepika_load::ai::approx_t(height_m, steel_ratio)(crates/sepika-load/src/ai.rs)が算定し、鉄骨造比は sepika_solver::statics::analysis::steel_height_ratio(crates/sepika-solver/src/statics/analysis/seismic.rs)が求めます。

T 算定法の選択(略算/精算)

右パネル「① 準備計算」の「地震力の条件」で、既定の略算を選択します。略算周期は固有値解析を必要としません。周期は有限の正数を要求し、0.3 s 等の代替周期は採用しません。EX・EY 両方向には同じ T を用います。

固有値周期による地震力は未対応です。固有値解析の参考周期は取得できますが、解析済みの周期や MCP の design_period 数値だけでは告示第2ただし書の適用証拠になりません。標準 EX/EY 荷重と準備表は理由付きで算定を止めます。未実行の場合は固有値結果がないことを案内します。

告示第2ただし書の精算には、弾性域(RC はひび割れ前)の剛性、地盤・杭の変形を考慮しない条件、有効高さ、精算方法の確認が必要です。条件を満たす精算の理論上の採用値は \( R_{t,採用}=\max(R_{t,精算},0.75 R_{t,略算}) \) です。略算 0.8・精算 0.5 なら採用 0.6、精算 0.7 なら採用 0.7 です。この下限は周期 T でなく Rt に掛かります。SEPIKA は適用証拠の保存・検証とこの精算採用経路を実装していません。任意周期に下限演算だけを加えて適合扱いにはしません。Ai の特別な調査・研究による例外も未対応です。

EX/EY の単体解析は同期済みの荷重ケース ID を解き、Ai 水平力に同じケースの手入力荷重・片持ちスラブ先端荷重を加えて反映します。 標準 EX/EY の Ai 水平力を再生成できない場合は、先端荷重の有無にかかわらず失敗方向の旧 Auto 水平力だけを取り除きます。 手入力荷重(Manual)と先端荷重(SlabTip)は保持しますが、手入力水平力があっても Ai の再生成に成功するまで該当方向の単体解析・依存する組合せ解析は実行できません。

準備計算を含め、再生成失敗を検出した時点で該当方向の単体結果と依存する組合せの旧結果を削除します。 成功した方向と無関係な結果は保持するため、たとえば EX だけが失敗した場合に EY の結果まで失うことはありません。 削除対象を表示していた場合は選択と応力・検定の表示用キャッシュも解除し、再生成が必要であることを通知・ログで案内します。

実装参照:sepika_app::app::actions::linear_static(crates/sepika-app/src/app/actions/linear_static.rs)が同期済みケースを解き、sepika_job::compute::missing_seismic_horizontal_load(crates/sepika-job/src/compute.rs)が水平力の欠損を判定します。

塔屋(PH)階・地下階を含む地震層せん断力分布

地下階の標準経路は令88条4項の下限震度を採用し、直上層から伝わる層せん断力を加えます。H は地盤面からの深さ [m](入力は mm)で、有限の非負値を要求します。 各地下床の標高+H は同じ地盤面 GL を示す必要があり、差が0.001 mmを超える入力は地震力・準備表・Qud・増分載荷の標準入口で拒否します。許容差は座標の大きさによって拡大しません。

\[ K_i=0.1(1-\min(H_i,20)/40)Z \]

\[ Q_i=Q_{i+1}+K_i w_i \]

ここで地下層の \(w_i\) はその層自身の重量です。Z=1、H=0/20/25m では K=0.10/0.05/0.05 になります。地下重量は地上部の αi に含めません。地盤や建物の動的性状に基づく地下震度例外は未対応です。

塔屋等を通常Aiで建物全体の一部として計算する場合と、屋上突出物・設備の局部地震力を検討する場合は対象が異なります。通常Aiで計算する塔屋は設計者が適用条件と有効高さを確認して一般階として定義します。局部検討の対象をこの設定で代用しません。

PH種別の既存指定震度の参考計算は \(Q_i=k\sum W_j\) で、k に Z を再乗算しません。Z=0.8、k=1、PH重量100kNでは参考値100kNです。これは K=Z による80kNとも通常Aiの階地震力とも別の入力契約です。PH種別は標準 EX/EY と準備表では適用未検証として拒否します。指定震度を無根拠に変更したり、通常階・局部対象へ自動分類したりしません。

負Pi(数値誤差を超える値)・非有限結果・ΣPi と基部せん断力の不一致・載荷先の欠落・分配合力の不一致も、標準荷重を生成できない理由として表示します。階種別は下から地下→一般→PHの順、階レベルは有限値の厳密な昇順が必要です。

実装参照:sepika_solver::statics::analysis::seismic_distribution_for_model と build_seismic_load_case_from_model(crates/sepika-solver/src/statics/analysis/seismic.rs)が標準入口の診断・地下算定・分配を担います。sepika_load::ai::seismic_shear_distribution(crates/sepika-load/src/ai.rs)は適用検証を行わない参考数値計算です。

出典と確認範囲

告示1793号の第1の表(Z)、第2(Rt、T、地盤)、第3(Ai)を採用します。地盤第1種は岩盤・硬質砂礫層等、第3種は腐植土・泥土等に準じ沖積層深さ概ね30m以上等の条件、第2種はそのいずれでもないものです。数値タグだけで敷地の地盤判定は確定せず、地盤調査と告示の実態条件を設計者が照合してください。全自治体、官報原本全体、公的現行統合告示の原画像の照合は未完了です。公式公開の2007年告示対照資料に「改正案」とあるものは公布原本とは扱いません。告示1101号は一般地震層せん断力の根拠として引用しません。