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AnalyzeThⅠとAnalyzeThⅡの違い

23 August, 2015 - 1 min read - Tags: Karamba3D,Grasshopper,構造とデジタル

Karamba3D には、静的線形解析を行うコンポーネントが2つあります。AnalyzeThⅠ と AnalyzeThⅡ の二つです。二つの違いについて検証します。
Karamba3D にはホームページから、マニュアルをダウンロードできますが、日本語に翻訳されているのは ver 1.0.5 までです。ですが、静的解析が二つになったのは Karamba3D の ver1.1.0 からなので、英語のマニュアルを確認しました

結果を要約すると、要素に入る軸力によって発生する剛性の変化を ThⅡ では考慮して解析を行うようです。検証するために、単純梁に対して、一端に圧縮力をかけたモデルを作成します。AssembleModel コンポーネントから、ThⅠ と ThⅡ に同一のモデルを入力します。図中の上が ThⅠ、下が ThⅡ です。結果をみると、圧縮力による剛性の低下が考慮されており、変位が 0.047 から 0.048 に増加していることが確認できます。

また、ThⅡ は軸力を考慮するため、圧縮力による座屈も考慮を行っており、下図のように一定以上の圧縮力が加わるとエラーとなり、
「The structural system buckles under the given loads」(この構造システムは与えられた荷重下では、座屈します。)
と表示されます。

なお Karamba3D が作られているのは、ヨーロッパなのでこの THⅡ の判断は欧州構造基準(ユーロコード)に基づいて判断されています。

以下、「Karamba110Manual」 の 「6.5.2. Analyze Th. II」の該当箇所の翻訳を掲載

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梁要素の軸力とシェル要素の面内荷重は、構造の剛性に影響を与えます。圧縮力は剛性を低下させ、引張力は剛性を増加させます。圧縮力による変位と断面力への影響は、荷重の絶対量が座屈荷重の 10%未満の場合、考慮されない可能性があります。

karamba では、AnalyzeThⅡ コンポーネントを使用することによって、軸力による二次効果を考慮することができます。これは微小変形の理論に基づいて、要素の幾何剛性行列を通じて軸力を考慮します。梁要素においては、[3]で示される理論が断面力を計算するのに使用されます。(※訳者注:マニュアルの付録[3]に、理論の概要が掲載されています。)

Karamba では、部材内に発生する通常の軸力 Nx と二次効果による軸力 NⅡ は区別されています。一見するとこの概念は怪しいように思われます。どのようにして同一の梁要素の中で 2 種類の軸力があるのでしょうか。現実では、そのようなことはありません。ですが、コンピュータにおいては、2 つを区別することは問題ではありません。応力は σ=Nx/A で計算され、NⅡ は二次効果を決定するために使用されます。この利点はいくつかの荷重ケースがある場合、それは要素ごとに NⅡ として最も大きな圧縮力を選びます。これは構造の剛性の下限値を与えます。NⅡ を使用して荷重ケースの再評価は柔らかすぎる構造の応答評価につながります。しかしながら荷重ケースごとの違いは、問題なく重畳されるかもしれません。

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