標準材料(プリセット)一覧
材料タブの「プリセット追加」から選択できる標準材料と、その登録値を示します。 プリセットにない材料は、各定数(E・ν・ρ・Fc・Fy)と区分を直接入力して登録できます。
プリセットの分類(鋼材・鉄筋・コンクリート)は、そのまま材料の区分になります。 区分は部材が RC 造か S 造かを決めるため、直接入力でも必須の入力項目です (構造種別の判定)。
材料グレード名と基準強度の対応は H12 建告第 2464 号(JIS 規格品)および 大臣認定品の基準強度によります。
共通の材料定数
| 材料 | ヤング係数 E [N/mm²] | ポアソン比 ν | 単位体積重量 [kN/m³] |
|---|---|---|---|
| 鋼材 | 205,000 | 0.3 | 設計用 γs = 78.5(固定荷重。密度 > 0 なら保存密度に依らず固定) |
| 鉄筋 | 205,000 | 0.3 | 設計用 γ = ρ×g(RC/SRC の γRC/γSRC に内包。別加算しない) |
| コンクリート | \( E_c = 3.35\times10^4 \cdot (\gamma/24)^2 \cdot (F_c/60)^{1/3} \) | 0.2 | 単位体積重量表による(下表) |
- せん断弾性係数はいずれも \( G = E / {2(1+\nu)} \) で算定します(鋼材 G ≒ 78,846 N/mm²)。
- コンクリートの \( E_c \) 式は、RC 単位体積重量 γRC から \(\gamma_C=\gamma_{RC}-1.0\) [kN/m³] とした γC を用います。
- 鋼材の固定荷重(DL・地震用重量)は設計用単位体積重量 γs = 78.5 kN/m³ を用います (基準資料の単位体積重量表(鉄骨)による固定値)。保存された質量密度には依存しません (カスタム密度の鋼材でも設計重量は 78.5 固定)。質量密度 0 の材料は自重 0 とします。 質量行列・動的解析に用いる物理質量密度は 7.85 t/m³ で、用途は別です (78.5 kN/m³ を g = 9.80665 m/s² で質量へ換算すると約 8.005 t/m³ になり、 7.85 t/m³ とは一致しません)。鉄筋の自重は RC/SRC のコンクリート単位体積重量 (γRC/γSRC)に内包されるため、鉄筋を別途加算しません。
- γs = 78.5 kN/m³ は物理質量密度に g ≒ 10 m/s² を掛けた値に相当します。これを超える 密度(78.5/g ≈ 8.005 t/m³ 超)をカスタム入力した鋼材では、設計重量(地震用重量)が 物理質量を下回る側になり得ます(危険側)。これは設計重量を密度に比例させず基準資料 どおり 78.5 kN/m³ 固定としているための留保です。
- 質量密度は内部単位系(N-mm-s)の ton/mm³ で保持します。鋼材・鉄筋は物理質量密度 7.85 t/m³ をそのまま用い、コンクリートは単位体積重量を重力加速度 g = 9.80665 m/s² で除して導出します。
実装参照:プリセットの材料定数は sepika_core::material_grade::material_presets(crates/sepika-core/src/material_grade.rs)が与え、せん断弾性係数は sepika_core::model::Material::shear_modulus(crates/sepika-core/src/model/material.rs)が \( G = E/{2(1+\nu)} \) で算定します。
コンクリート Ec の扱い
標準コンクリート材料の Ec は、構造区分に応じた単位体積重量表の γC から生成します。RC は γC = γRC - 1.0、SRC は γC = γSRC - 2.0 とするため、同じ Fc の RC/SRC で Ec は同一です。標準材料は、標準プリセットまたは標準グレード生成経路で作成された材料に限られ、材料タブで E を編集できません。ST-Bridge の RawMaterial など、物性値を明示入力して作成された材料は、標準グレードと同名でも直接入力材料として扱います。この場合は入力した E(Material.young)を編集でき、線形剛性などの線形材料経路ではその値を使います。NewRC ファイバーの圧縮包絡線は Fc から算定し、初期接線は Fc≤60 では Material.young、Fc>60 では NewRC 固有 Ec の暫定外挿を使います。
CFT の充填コンクリートだけは別経路で、Fc・コンクリート種類から無筋コンクリートの γC を求めて Ec を算定します。鋼管材料の密度・ヤング係数は充填 Ec に用いません。
鋼材プリセット
基準強度 F [N/mm²] は、JIS 規格品では板厚 t による区分があります。
| 名称 | 区分 | F(t≦40mm) | F(40mm<t≦100mm) |
|---|---|---|---|
| SS400 | 一般構造用圧延鋼材(JIS G3101) | 235 | 215 |
| SN400 | 建築構造用圧延鋼材(JIS G3136) | 235 | 215 |
| SM400 | 溶接構造用圧延鋼材(JIS G3106) | 235 | 215 |
| SM490 | 溶接構造用圧延鋼材(JIS G3106) | 325 | 295 |
| SN490 | 建築構造用圧延鋼材(JIS G3136) | 325 | 295 |
| BCR295 | 建築構造用冷間ロール成形角形鋼管(大臣認定品) | 295 | ― |
| BCP235 | 建築構造用冷間プレス成形角形鋼管(大臣認定品) | 235 | ― |
| TMCP325 | 建築構造用 TMCP 鋼材 490N 級(大臣認定品の一般名) | 325 | 325 |
| TMCP355 | 建築構造用 TMCP 鋼材 520N 級(同上) | 355 | 355 |
| TMCP385 | 建築構造用 TMCP 鋼材 550N 級(同上) | 385 | 385 |
| TMCP440 | 建築構造用 TMCP 鋼材 590N 級(同上) | 440 | 440 |
| SA440 | 建築構造用高性能 590N/mm² 鋼材(大臣認定品) | 440 | 440 |
| LY100 | 建築構造用低降伏点鋼材 100N 級(大臣認定品) | 80 | ― |
| LY225 | 建築構造用低降伏点鋼材 225N 級(大臣認定品) | 205 | ― |
- TMCP 鋼材(HBL 等の商品名で流通する大臣認定品の一般名)は板厚 40 mm 超 100 mm 以下でも F の低減がありません。
- プリセットの
Fyには F(t≦40 mm)を登録しますが、許容応力度検定では 材料名から板厚区分込みの F を都度解決するため、板厚 40 mm 超の 断面には低減後の F が適用されます(鋼材(F 値・許容応力度・座屈) 参照)。 - プリセット以外にも、SM520(355/335 の 2 区分)・SS490・STK400/490・
STKN400/490・STKR400/490・SNR400/490・SSC400・SWH400・BCP325 等の
グレード名を材料名として登録すれば同様に F 値が解決されます
(
SN490B・SM490YAのような JIS 種別記号付きの名称も前方一致で解決します)。 - 保有水平耐力計算(プッシュオーバー)では、鋼材の材料強度として基準強度の 1.1 倍(590N 級の SA440・TMCP440 は 1.05 倍)、RC 主筋は 1.1 倍を用います (せん断補強筋は割増ししません)が、材料ごとに割増係数の直接入力もできます (プッシュオーバー解析 参照)。
実装参照:基準強度 F の板厚区分込みの解決は sepika_core::material_grade::{steel_f_value, steel_f_value_prefix}(crates/sepika-core/src/material_grade.rs)が行います。
鉄筋プリセット
基準強度(=規格降伏点)[N/mm²]。
| 名称 | 区分 | 基準強度 |
|---|---|---|
| SD295 | 異形鉄筋(JIS G3112) | 295 |
| SD345 | 異形鉄筋(JIS G3112) | 345 |
| SD390 | 異形鉄筋(JIS G3112) | 390 |
SD/SRに続く数値を基準強度として解決するため、プリセット外のSR235・SD490等も材料名から解決できます。- 鉄筋の許容応力度(径区分・せん断補強筋の上限)は 鉄筋(径区分に注意) によります。
- せん断補強筋として対応するのは
SR235・SR295・SD295(SD295A・SD295Bを含む)・SD345・SD390・SD490の普通強度のみです。高強度せん断補強筋の製品名(KH785等)や 未知名は現時点で未対応であり、割り当てた断面を含む検定・解析は停止します。
実装参照:基準強度(=規格降伏点)の名称解決は sepika_core::material_grade::rebar_f_value(crates/sepika-core/src/material_grade.rs)が行います。
コンクリートプリセット
普通コンクリートを対象とし、γC は気乾単位体積重量(Ec 算定用)、γRC は鉄筋コンクリートの 単位体積重量(自重・質量算定用。γRC = γC + 1.0)とします。
| 名称 | Fc [N/mm²] | γC [kN/m³] | Ec [N/mm²] | γRC [kN/m³] |
|---|---|---|---|---|
| Fc18 | 18 | 23.0 | 20,596 | 24.0 |
| Fc21 | 21 | 23.0 | 21,682 | 24.0 |
| Fc24 | 24 | 23.0 | 22,669 | 24.0 |
| Fc27 | 27 | 23.0 | 23,577 | 24.0 |
| Fc30 | 30 | 23.0 | 24,419 | 24.0 |
| Fc33 | 33 | 23.0 | 25,208 | 24.0 |
| Fc36 | 36 | 23.0 | 25,949 | 24.0 |
| Fc40 | 40 | 23.5 | 28,058 | 24.5 |
| Fc42 | 42 | 23.5 | 28,518 | 24.5 |
| Fc45 | 45 | 23.5 | 29,182 | 24.5 |
| Fc50 | 50 | 24.0 | 31,525 | 25.0 |
| Fc55 | 55 | 24.0 | 32,542 | 25.0 |
| Fc60 | 60 | 24.0 | 33,500 | 25.0 |
- RC の自重・質量は鉄筋の実体積を置換せず、総断面へ γRC を一様に適用します。標準プリセットの γRC は表の値とし、Ec 算定時は必ず γC = γRC - 1.0 とします。SRC 造(鉄骨鉄筋コンクリート)用に追加する場合は γSRC = γC + 2.0 を総断面の密度に
用います(プリセット追加時の「SRC造」指定。名称は
Fc24(SRC)のようになります)。 - CFT の充填コンクリート部は鉄筋が無いため、無筋コンクリートの \( \gamma_C \) をそのまま用います(γRC・γSRC は用いません)。設計重量(DL・地震用重量)と質量のどちらも同じ \( \gamma_C \) を使い、鋼管部の設計用単位体積重量 \( \gamma_s = 78.5\ \text{kN/m}^3 \)・物理質量密度 7.85 t/m³ とは別領域として合算します。
- CFT の等価断面性能に用いる Ec は、充填コンクリートの Fc と種類から無筋コンクリートのγCを求めて算定します。鋼管材料の密度は用いません。
Fcに続く数値を設計基準強度として解釈するため、プリセット外のFc38等も材料名から解決できます。- コンクリートの許容応力度は コンクリート によります。
実装参照:設計基準強度の名称解決は sepika_core::material_grade::parse_concrete_fc(crates/sepika-core/src/material_grade.rs)が行い、プリセットの γC・γRC は sepika_core::units::concrete_unit_weight_kn_m3(crates/sepika-core/src/units.rs)、Ec は sepika_core::section_shape::concrete_young_modulus_gamma(crates/sepika-core/src/section_shape/material.rs)を用いて算定します。
ナビゲータの材料一覧
左ドックのナビゲータには「材料一覧」があり、材料は区分ごとにグループ化して表示します。 表示順は鋼材 → コンクリート → 鉄筋で固定し、各区分の中に材料名が並びます。 材質の行をクリックすると、下ドックの「モデル」タブ→「材料」テーブルへ移動して、その材料行が選択状態になります。 グループの既定状態は閉じているため、必要な区分だけを開いて確認できます。
実装参照:区分ごとのグループ化(鋼材 → コンクリート → 鉄筋の固定順)と一覧の描画は sepika_app::app::nav_model::material_category_groups・App::nav_materials(crates/sepika-app/src/app/nav_model.rs)が行い、材質クリックでモデルタブの材料テーブルへ移動します。